インタビュー
» 2020年03月19日 05時00分 公開

個人とチームをどうリンクさせるのか:ラグビー前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が後輩たちに語る「チームの作り方」 (1/3)

 2019年、ラグビーワールドカップ(RWC)によってラグビーは社会現象となるほど盛り上がりを見せた。ラグビー日本代表の元キャプテン、廣瀬俊朗は試合の解説以外にも、自身の会社を経営するなど起業家としても活躍している。後編ではBBTがラグビーチームのリコーブラックラムズ向けに全10回の人材育成講義「MFP(Make Future Project)」を実施しており、その中で行った廣瀬の講義の様子をレポートする。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーをまとめてきた廣瀬の知見を生かした講義だ。

[武田信晃,ITmedia]

 2019年、ラグビーワールドカップ(RWC)によってラグビーは社会現象となるほど盛り上がりを見せた。ラグビー日本代表の元キャプテン、廣瀬俊朗は試合の解説以外にも、自身の会社を経営するなど起業家としても活躍している。

 記事の前編「ラグビー前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が語る「リーダーの在り方」」では「ビジネス・ブレークスルー大学」(BBT)の大学院で経営を学び経営管理修士(MBA)を取得した廣瀬に「リーダー論」について語ってもらった。

 後編ではBBTがラグビーチームのリコーブラックラムズ向けに全10回の人材育成講義「MFP(Make Future Project)」を実施しており、その中で行った廣瀬の講義の様子をレポートする。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーをまとめてきた廣瀬の知見を生かした講義だった。(敬称略)

photo 廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)元ラグビー日本代表キャプテン。株式会社HiRAKU代表取締役、ラグビーワールドカップ2019公式アンバサダー。1981年、大阪府生まれ。大阪府立北野高校卒業後、慶應義塾大学理工学部に入学。高校日本代表、U19日本代表を歴任。その後、東芝ブレイブルーパスに入団。2007年に日本代表選手に選出され、12年から13年までキャプテンを務める。ポジションはスタンドオフ、ウイング。16年より大前研一氏が学長を務める通学不要・100%オンラインで経営管理修士(MBA)を取得できる日本初の経営大学院として04年11月に文部科学省より専門職大学院の設置認可を受けた「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」で経営を学び、経営管理修士(MBA)を取得。その後「ビジネス・ブレークスルー アスリートアンバサダー」に就任。近著に『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)など(撮影:山本宏樹)

「目標」と「目的」は違う 目的に特化すべき

 廣瀬が最初に提示したのは「目標」と「目的」の違いだ。まず選手に何が違うのかを考えさせるところから講義は始まった。選手からは目標とは「優勝すること」などが上げられ、「目的」については「チームに恩返しをすること」といった発言があった。廣瀬は「目標はコントロールできないが、目的はそうではない。だから目的により特化した方が活躍できる」と選手に説いた。

photo 廣瀬は「目標」と「目的」の違いから考えさせ始めた

 次はJリーグの代表的なチームの1つ、浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)を例に挙げ「目標と目的は何だろうか?」と廣瀬は選手に質問をした。選手はレッズの目標は「優勝だと思う」と言い、目的は「ファンを大事にする」や「地域貢献ではないかと思う」などと発言した。これに対して廣瀬は「レッズの公式サイトを見れば分かりますが、目的を『言語化』している。これをいかに実行していくかが大事」と説明した。

photo 浦和レッズは目的を言語化している(浦和レッドダイヤモンズのWebサイトより)

 次に「ブラックラムズの目標と目的」に話が移った。廣瀬はここまでまずは選手たちに1人で考えてもらい、その後、隣のメンバーと議論してもらうというやり方をしていた。ここでも同じやり方を踏襲する。

 選手からは、目標については当然ながら「優勝」という回答が出てきた一方、目的については「今年のメンバーでやれるものを練っていきたいし、何のために優勝するのかを考え直したい」という発言が出た。廣瀬は「これから選手たちが作っていったものはチームの文化になり、強力なものにもなっていくのでしっかりと突き詰めてほしい」と伝えるなど、常にポジティブな伝え方をしていく。

photo ブラックラムズの選手たちは真剣にノートを取りながら廣瀬の講義に熱心に耳を傾けていた
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個人とチームをどうリンクさせるのか

 その次は「個人の目標と目的を、チームの目標と目的に、いかにしてリンクさせるのか?」というテーマで話し始めた。これまでと同様に、数分間の時間を与え選手に考えさせていく。ある選手は「優勝というのは個人でもチームでも同じで、親和性がある」と語り、「個人ではレギュラーを取ること」と答えた。

photo 個人の目標と目的、チームの目標と目的をそれぞれ考えさせ、どうリンクさせるのかについて話していた

 そこで廣瀬は「もしレギュラーを取れないとするなら、どうするのか。そこが難しいところ」と話し、「ここで恩返しをするとか、頑張り続けるということが大事。その姿を見て勇気をもらえる人もいるから」と理由を述べた。つまり「うまくいかないときに原点に立ち戻れるポイントを持ってほしい」ということだ。

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