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ラグビー前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が後輩たちに語る「チームの作り方」個人とチームをどうリンクさせるのか(2/3 ページ)

» 2020年03月19日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]
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目的をいかにマネジメントするか

 それから、さらに具体的な議題に踏み込んでいく。「目的をマネジメントするには、どうすればいいか?」というものだ。廣瀬は「練習後に1日を振り返って、『今日はうまくいったかな』と自分で考えたり、ほかの人からフィードバックしてもらったりすることも大事。そうやって改善していける」という。

 リーダーがメンバーに一声かけることによって、その選手に「気付き」を与えることができると伝えた。また、「現役を終えてからの人生の方が長い。会社とラグビーに加えて、もう1つ、2つ別のフィールドを持っていろんな人と関わり合いを持つことが大事。引退してから自分はどうやって恩返しできるのかも考えてください」と話していた。

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 次にラグビーワールドカップ(RWC)で準々決勝まで進んだ日本代表に話が移り、「日本代表の目標と目的」について選手に考えてもらった。選手からは「ラグビーを知ってもらいたい」「歴史を変えたい」と言う回答があり、大会期間中に襲った台風の話題も出てきた。

 その当時、彼らが奮闘できた理由について、ある選手は「『被災者に活力を与えたい』というのもあったのではないかと思う」と語ると、廣瀬がリコーブラックラムズのミッションである「ラグビーを通じ、『会社』『地域社会』に活力と感動を与えるチームであること、と親和性が出てきたね」とあいづちを打った。すると、実はブラックラムズと日本代表には共通点があることを発見させていた。

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 廣瀬は「日本代表は何を大事にしていたのか?」と問いかけた。「自信に満ちあふれていた」→「そのためにはどうする?」→「いい練習が大事」→「いい練習とは?」→「意図が分かっている練習」……と選手たちに質問と回答を繰り返させ、本質を突き詰めていく。

 ここまでずっと廣瀬は段階を踏みながら議論をさせ、「日本代表」と「ブラックラムズ」の比較に入った。

 選手からは「目標と目的がしっかりしている部分は、代表とラムズは同じ」「キャプテンはラムズの方が勝っている!」といった回答もあった。一方でブラックラムズは「一貫性がないのが弱み」ということも認識させ、言語化することによって長所と短所を明確にしていった。

 最後は人間関係を議題にした。「選手同士が言いたいことを言える関係かどうか」と廣瀬は尋ねると、選手からは「言える」「言うのをためらう」「言えるときと言えないときがある」などさまざまな回答が出てきた。広瀬は「誰かが正解ではない発言をしても、『それ、いいね!』と肯定的な雰囲気を作ることが大事。そうすれば意見を言いやすくなる」と話す。

 「間違った発言はしてもいい。決してその発言をとがめてはいけない」と選手に伝えていた。そして「根本は人間関係。選手だけではなく、スタッフ、会社の人などみんなで笑っていけるかが大事です」と話し、講義が終わった。

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