好調ワークマン、コンビニと一線画す「秘密のフランチャイズ」戦略に迫るコンビニオーナー“大反乱”の真相(3/4 ページ)

» 2020年03月25日 08時00分 公開
[北健一ITmedia]
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本部と加盟店は「仲良し」か?

 加えて、FCビジネスにおいて加盟店と本部がもめがちなのが「再契約率」だ。例えばセブンイレブンの契約期間は15年間。その後、加盟者と本部とが合意すれば再契約(ないし契約更新)となり加盟者と本部との関係が続き、合意できなければ契約は終わる。そこで再契約率は、本部と加盟者との“関係の良さ”の指標と考えられている。

 ワークマンとFC加盟店との関係は再契約率にも現れている。同社のFCの契約期間は基本6年間だが、2〜3回再契約するオーナーが多いという。定年(70歳以上は再契約不可)や病気などのやむを得ない場合を除き、20年3月期の再契約率は「99%」としている。

 19年末、セブンイレブン本部が、時短営業(深夜閉店)に踏み切った大阪府東大阪市のオーナーとの契約を中途で打ち切り、物議をかもした(現在、大阪地裁で裁判中)。こうした中途解約について問うと、八田部長は「中途解約はあります。ルール上は違約金(規定)もあるが、われわれもそこまでドライではなく、状況を鑑みて協議して決めています。例えばクレームが多いなど問題があれば書面で改善を求めますが、前向きに改善してもらう中で、加盟店が継続を希望すれば継続する 」としている。

 また、パート従業員や親族などへの引き継ぎを望むオーナーも多く、直近1年では契約終了店舗の47%が彼らへの継承を希望したという。

 では、肝心の「オーナーの収入」は、コンビニFCなどと比べてどうか。

 ワークマンの加盟希望者向けの資料による試算データでは以下の通り。年間1.8億円売り上げた場合月の売り上げは1500万円で粗利は約540万円(粗利率36%)。粗利の60%に当たるロイヤリティーを本部に払い、そこから「営業経費」(水道光熱費等)、「棚卸ロス預託金」(帳簿上の在庫より実地棚卸で確認した在庫が少ないとき、検品ミスや万引きで生じる穴を埋めるためのお金)、「在庫金利負担」(商品仕入のための本部からの借入にかかる年利3%の金利)を引かれた約187万円が加盟店の口座に振り込まれる。その10%を在庫(見合いの本部からの借入)の返済に充て約67.5万円の人件費を払うと、お店に残るのは約100.8万円となる。

 一方、コンビニ最大手セブンイレブンの場合、土地・店舗を借りるCタイプでは、加盟5年目で約74万円、10年目で約89万円、15年目でも約90万円だ(16年3月現在の数字。19年2月6日付中央労働委員会命令への附属の表〈労働法律旬報1943号88頁〉による)。夫婦でやっているとはいえ、ワークマンの「月100万円の利益」は、試算データ通りとすれば一定の水準と言えるかもしれない。

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