「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数が、米国時間3月16日に82.6を付けた(3月17日の記事参照)。これは、リーマンショック時に匹敵する高さであり、投資家が現在の市場を強く不安視していることを表している。昨今、よく聞くようになったVIX指数だが、これはいったいどのようなもので、どんな特徴があるのだろうか。
VIX指数は、ボラティリティ・インデックスの略で、ボラティリティとは「変動」を意味する。米シカゴのオプション取引所であるCBOEが算出する指標で、米国株価指数S&P500の変動幅を指数化したものだ。
VIX連動商品を取扱うGMOクリック証券のデリバティブ部佐藤友哉氏は、「S&P500とは日本でいう日経平均やTOPIXのようなもの。VIXは、この指数の変動幅、値動きの激しさを表す」と説明する。
ではなぜVIXが恐怖指数と呼ばれるのか。株価の変動を表すボラティリティは、一般に2種類ある。過去の変動がどうだったかを表すのがヒストリカル・ボラティリティ。そして、現在から将来の変動がどうなるかを表すのが、インプライド・ボラティリティだ。
インプライド(暗示)と呼ぶのは、これをオプション取引での値付けから逆算して導き出すからだ。「オプションの価格はボラティリティを元に価格が算出される。いまオプション取引をしている投資家は、現在と将来のボラティリティをもとに、取引する価格を算出している」と佐藤氏。つまり、現在から将来の変動が大きくなりそうだと投資家が考えているなら、VIXは高くなり、変動が小さくなると考えているなら低くなるわけだ。
基本的には、市場が暴落するときに高くなるが、いったん下がったら今度は大きく上がる可能性も出てくる。今回のコロナショックで相場が乱高下している状況がまさにそれだ。
「VIXが高まれば高まるほど、投資家が変動幅が大きくなると予想をしていることを意味している。景気が安定的な状態ではなく、不安が高まっているということ」(佐藤氏)
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