「コロナショック」がリーマンショック以上に日本を脅かす未来――混乱のドイツ経済から占う新型コロナの衝撃(3/3 ページ)

» 2020年04月03日 08時00分 公開
[土田陽介三菱UFJリサーチ&コンサルティング]
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日本が欧州より「コロナショック」を受ける可能性

 コロナウイルスの感染拡大で、既に日本でも観光業や飲食業などを中心にさまざまな業種へ悪影響が及んでいる。近年、日本はインバウンド観光を奨励し、地方経済の外国人観光客需要への依存度が高まっていた。そのため、特に海外からの訪日客が激減したことが、日本の地域経済に甚大な悪影響を与えている。

 さらに、今夏に予定されていた東京五輪の延期も、さまざまな業種に悪影響を与えている。特に五輪需要を当て込んでいた観光業や小売業は、五輪の開催延期によってそうした需要がしぼむことになった。ほぼ満室を見込んでいた今夏のホテルの稼働状況は今や風前の灯(ともしび)だ。こうした状況はドイツなどヨーロッパに比べても深刻といえよう。

 加えて東京で都市閉鎖が実施され、それが長引けば、経済への悪影響はドイツ以上となるかもしれない。コロナウイルスの感染拡大を防ぐ必要がある一方で、経済活動をいつまでもストップさせるわけにもいかない。バランスは大変難しいが、経済を軽視し過ぎると未曽有の大不況となってしまう恐れがある。

 実際、4月1日に発表された3月の日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)では、コロナウイルスの感染拡大を受けてさまざまな業種で景況感が悪化したが、なかでも宿泊や飲食の景気判断が過去最低となった。この調査の段階でも、日本企業の景況感はドイツ以上に悪化していたのかもしれない。疫学的な観点が最優先されるべきだが、可能な所からは経済活動の迅速な正常化が行われることが望まれるところだ。

土田 陽介(つちだ・ようすけ/エコノミスト)

 1981年生まれ。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究員。一橋大学経済学部、同大学院経済学研究科修了。浜銀総合研究所を歴任後、現職。今は欧州経済の分析を担当。


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