地球の裏側でもクールジャパン! “ブラジル版コミケ”「アニメフレンズ」の正体とは南米最大級のアニメイベント(3/4 ページ)

» 2020年04月08日 07時58分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

難しい海賊版対策

 海賊版が野放図となっているイベントに権利元が公式に出ていくことは難しいため、日本のコンテンツ企業にとっては、そう簡単に海外ファンイベントに進出できない事情があるのだ。

 アニメフレンズも、MARU.Divisionが運営を引き継ぐまでは、似たような事情があったようだ。アニメ「機動戦艦ナデシコ」「ゲートキーパーズ」などの主題歌を歌っていることで知られる歌手の松澤由美さんはこう振り返る。

 「2006年から何度もゲストとして参加させていただいていますが、初めて参加した当時は海賊版も珍しくなく、学園祭のような雰囲気だったのを覚えています。しかし、今では公式のものが続々と増え、エンターテインメントとして成長しているように思います。日本の状況にたとえれば、コミックマーケット(コミケ)にウルトラマンのフェスや大きなライブステージもあるような感じでしょうか。年々、大きな市場になっているのを実感しています」

phot 『機動戦艦ナデシコ』や『聖闘士星矢〜冥王ハーデス十二宮編〜』などのテーマソングを担当し、アニソンカヴァーアルバム「Yumi Matsuzawa AnimeSong Cover Album」などを発売予定の松澤由美さん

 アニメフレンズそのものは、どのようなビジネスモデルによって展開しているのだろうか。先述のハゴーニャ氏がこう解説する。

 「来場者による入場料収益だけでは正直イベントは成り立ちません。会場でのグッズ販売や、フードコートからの収益もあって成り立っているような状況です。歌手を中心に、日本から毎年多くの方をゲストに招いていますが、この方たちの交通費や滞在費などのコストがどうしても重くのしかかりますね。ただ年々赤字額は減ってきていて、そう遠くないうちに黒字化も視野に入れられると思います」

 ウルトラマンや初音ミクといったコンテンツで盛り上がる一方、日本以上に海外ならではの盛り上がりを見せるものもある。コスプレだ。アニメフレンズではコスプレの世界大会「コスプレワールドマスターズ」も開かれている。これはヨーロッパ(欧州)と南米中心に展開されているコスプレの世界大会で、この予選会もアニメフレンズで行われているのだ。

phot コスプレが盛り上がっている(Dream Planet提供)
phot 会場には「ARTIST’S ALLEY」と呼ばれる同人ブースも存在する。ブラジルテイストに描かれた版権イラストやバッジなどのグッズが頒布されている(アセティア提供)

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