では、信頼を得るためにリーダーに求められることは何か?
第一に、根拠をしっかりと示す客観性と情報の透明性を徹底すること、第二に「受け手=私たち」の感情を正しく推し量る共感性が必要不可欠です。
人間には首尾一貫性を好む傾向があるため、腑に落ちる説明は「信頼感」を高めます。また、自分たちと同じ目線でいてくれるリーダー、気持ちに寄り添ってくれるリーダーは頼りになります。
リーダーの言葉から「私たちの心の声」が聞こえて、初めてそれが心に響くメッセージとなり、「ああ、このリーダーを信じていいんだ」と理性的な行動を選択できるのです。
では、私たちの「リーダー」はどうでしょうか?
情報の透明性は? 共感性は? 「リーダー」のメッセージはあるでしょうか?
あくまでも個人的な意見ですが、日本のリーダーの言葉は全く心に響かない。実に残念なことですが、感染拡大が深刻になってからは、オーバーシュート、ロックダウン、という分かりづらい専門用語ばかりを乱発し、「日本語でいいじゃん!」と批判されると、今度は「感染爆発」「都市封鎖」という刺激的な言葉を繰り返しました。
安倍首相は「まさに」「いわば」「戦後最大の危機」というお得意ワードばかりで、“温度”が感じられませんし、小池都知事に至っては、刺激的な言葉を間違って使っている場面が見受けられ、少々驚きました。
緊急事態宣言の発令が決まった4月6日夜に行われた緊急記者会見もそうでした。知事は、「ソーシャル・ディスタンス」(social distance)という言葉を使っていましたが、正確には「ソーシャル・ディスタンシング」(social distancing)。「ing」があるかないかで、その意味は大きく変わります。
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