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» 2020年05月15日 07時51分 公開

ホテルがオフィスに? 売上確保のために「奇策」 (1/2)

アメリカではコロナの影響でトラベル/ホスピタリティ業界が大打撃を受けている。ホテルが売り上げを少しでも獲得するための「奇策」を講じている。「ロックダウン」で行き場をなくしたテレワーカーをターゲットとしたその奇策とは……。

[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:

 南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る〜コア・バリュー経営〜」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。


 ロックダウン(外出禁止令)が長期化するにつれて、在宅勤務に難しさを感じる人が増えています。同居人のおかげで仕事に集中できなかったり……、思うように効率が上がらないとイライラして家庭不和を引き起こしたりもします。コロナ以前であれば、そんな時に憩いの場を求めて近所のスタバへ……などといったことも可能でしたが、ロックダウンの最中ではそんなわけにもいきません。

 そこに助け舟を出しているのがホテルやモーテルなどのホスピタリティ施設です。ロックダウンの直撃を受けて、ホテルの稼働率はゼロに近く、多くが売上の損失にあえいでいます。そこで、少しでも収入を得る手段として、ひとりになれる空間で集中して仕事を片付けたいと願う人たちに「朝八時から夕方六時まで」といったように、宿泊なしで部屋を提供するホテルが出現しているというわけです。

 たとえばユタ州ソルトレイクシティのハイアットホテルは、午前8時から午後5時までの「デイ・ユース・オフィス」プランを59ドルで提供しています。オハイオ州コロンバスのレッドルーフインでは午前8時から午後6時までのプランを29ドルで、カリフォルニア州のサンタバーバラのラマダインでは午前7時から午後6時までのプランを75ドルで……といった具合に、全米各地のホテルが続々と「貸しオフィス・ビジネス」に参入しています。

 考えてみれば、ほとんどのホテルはWi-Fiが遣い放題ですし、昼寝をしたい時にはベッドもあるし、コロナクライシスの只中である今現在は使えないにしてもフィットネスセンターなどのアメニティもありますし、ゆっくり集中して仕事をしたい人にとっては理想的な環境なわけです。

 現時点では、「ホテルの部屋を貸しオフィスとして活用する」のは、「コロナクライシス下の臨時サービス」にすぎませんが、ロックダウン解除後にこれがサービスメニューの一部として定着する可能性は充分あります。

 特にビジネス関連の利用者が多いホテルだと、夜遅くにチェックインして、朝早くにチェックアウトする顧客も多いですから、日中、部屋を遊ばせておくよりは、オフィスとして利用したい人に貸して売上好機につなげるという考え方は大いに有効です。

 コロナ後のトレンドとして、「テレワーク」が定着するといわれています。今までは、「会社」でも「自宅」でもない場所として、シェアオフィスやスタバのような「サードスペース」がもてはやされていましたが、そういった「不特定多数の人とスペースを共有する=感染リスクの高い」場所に代わるもの/サービスが必要とされるようになるでしょう。「ホテルルーム」がその空洞を埋める存在になるポテンシャルは高いといえます。

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