コロナに苦しむ飲食店の“救済”に格差 カリスマシェフが指摘する重大問題長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)

» 2020年05月19日 08時58分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

地方や郊外と都心部では事情が異なる

 「私の周囲にある、東京のほんの一部、港区界隈(かいわい)で、もう150軒の飲食店が潰れています。国の持続化給付金などの支援もありますが、面倒な手続をして審査を受け、払い込まれるまで、もう間に合わないお店も多いです」――。飲食店の窮状をこう訴えるのは、「HAL YAMASHITA」オーナーシェフの山下春幸氏。同店は「禅 ZEN」をテーマにした創作和食で高い評価を得ており、山下氏は世界の一流シェフが集まる「ワールド・グルメ・サミット」に2010年、12年に日本代表マスターシェフとして参加。10年にシンガポールで開催された際には見事、世界ベストシェフに選出された。

「HAL YAMASHITA」オーナーシェフの山下春幸氏(出所:HAL YAMASHITA公式Webサイト)

 山下氏は、「飲食店舗への補償を求める嘆願書」を東京都の小池百合子知事に提出するべく、インターネットで署名を集める「飲食未来の会」の代表発起人だ。同会は発起人に、オールケッチアーノ代表取締役の奥田政行氏、ラ・ロシェル総料理長の川島孝氏、麺屋武蔵代表取締役の矢都木二郎氏、銀座山の辺オーナーシェフの山野辺仁氏ら人気レストランの代表者16人が名を連ねており、5月1日に発足した。

 飲食未来の会では、(1)家賃に特化した80%以上の補助、(2)通常の給与に準じた85%以上の補償と手続の簡素化の2点を求めている。署名者数の総計は9636人(5月17日現在)に上り、1万人に迫っている。1万人に到達したら、小池都知事に嘆願書を提出する。

 東京ミッドタウンにある「HAL YAMASHITA」本店も、東京ミッドタウン自体が緊急事態宣言を受け、4月8日から休んでいるため、それ以降の店舗売り上げはゼロである。

 持続化給付金はひと月の前年同月比の売り上げが50%以上減少している中小法人に200万円、個人事業者には100万円給付されるが、「地方・郊外と、六本木のような都心部では事情が異なることを考慮してほしい」と、山下氏は語る。

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