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» 2020年05月19日 08時58分 公開

コロナに苦しむ飲食店の“救済”に格差 カリスマシェフが指摘する重大問題長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)

[長浜淳之介,ITmedia]
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都心部は家賃がべらぼうに高い

 東京都心部は、地方・郊外に比べて家賃がべらぼうに高く、毎月の固定費だけで、200万〜250万円を支払っている店舗がざらにある。現状の補助では、1〜2カ月分の家賃を払っただけで無くなってしまうのだ。

 第2波、第3波が来ることを想定すれば、不況が長期化して人々の給料が下がることで「外食に行かなくてもいいのではないか」と、顧客の心情が変わってくる可能性がある。

 少なくとも3年は、飲食店にとって厳しい状況が続き、このままでは7万5000店といわれる都内の飲食店の半分以上が潰れて、40万人の失業者が街にあふれると、山下氏は危惧している。そうなると、飲食店に食材を納入している業者、借り手がいなくなった不動産オーナーも相次いで倒産する。そうした事態を未然に防ぎたいという趣旨だ。

 一方で、山下氏はお店が閉まった状態で無為に過ごしているわけではない。新たな収入源として熱心に取り組んでいるのは、弁当・総菜事業。3月からは料理のテークアウト、4月からはデリバリーや通販も開始した。同店の場合は、大手町などに系列店を持ち、墨田区内に工房があるので、商業施設が閉まっていても弁当がつくれるのだ。

 4月12日からは、六本木のランドマーク「アマンド」の店内の一部を借りて、平日の12時から14時まで、近隣の飲食店と共同で弁当を販売している。日によって参加店は異なるが、10〜15店が出店し、1日100食以上を販売する人気だ。弁当の価格は、600〜5000円と幅広い。

 「1店で頑張っても難しい。東京駅の駅弁売場をイメージして、いろんな魅力的な弁当が並べばお客さまに喜ばれると考えました。最初は4店からのスタートであまり売れなかったのですが、食中毒を起こさないよう衛生面に気を付けながら、日々改善して取り組んでいます」(山下氏)

 販売場所をSNSで募集すると、アマンドが無償で場所を提供すると申し出た。弁当の販売は緊急事態が解除される5月いっぱいまでを予定している。

 苦境に立たされた飲食店では、生き残りのために結束して家賃の猶予や補償を国や自治体に求めたり、弁当の共同販売を行ったりする動きが広がっている。

 同じような商品を売っても、コンビニやスーパーといった小売店は消費税が据え置きなのに、外食は2%の増税となる。19年10月からの不平等な消費増税をなんとか乗り切ったと思ったらコロナ禍に襲われた。

 予断は許さないが、飲食店、外食オーナーが結束して、前向きに状況を打開しようという動きが出てきたのは、大きな前進だ。

 「今は人々が飲食店に行くのを怖がってしまっている」と松田氏は、強い危機感を抱いている。それをどう払拭していくか。そこに、外食のニューノーマルにおける再興がある。

「HAL YAMASHITA」のデリバリー弁当(出所:WATERMARK INCORPORATED公式Webサイト)
「HAL YAMASHITA」の料理(出所:HAL YAMASHITA公式Webサイト)

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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