なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2020年05月23日 05時00分 公開

食の流行をたどる:ワインのようなボトルに入って5000円 意外な進化を遂げていた日本の「お茶」 (5/5)

[有木 真理,ITmedia]
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お茶に501円以上払ってもいいと考える消費者の存在

 ここからは、データを基に消費者心理を解説し、今後のお茶マーケット拡大の可能性を論じていきたい。

 ホットペッパーグルメ外食総研で、お茶への意識調査を行ったところ、大変興味深い結果が出た。

 まず、お茶に対する価値についてだ。お茶は外食シーンにおいて無料で提供されるイメージがあると答えた消費者は約8割となっている。一方で、プレミアムなお茶であれば、お金を払ってでも飲みたいと答えている消費者は3割存在し、プレミアム茶であれば、1杯のお茶に501円以上払うと回答した人は約1割存在した。

 ここにマーケットの可能性を感じている。お金を払ってでも飲みたい「プレミアム茶」とはどのような要素が必要なのであろうか? 国内の事例から考察すると「産地、生産方法」などのストーリー性が伝わるもの。そして、お茶の淹(い)れ方などを学びながら楽しむ「体験」などで付加価値をつけることでお茶の価値が向上するのではないかと考える。

 コーヒーや紅茶も世界中で、プレミアム化され、付加価値がどんどん高まっている。繰り返しになるが、産地や生産方法などのこだわり、希少性などをストーリーとして語る。また、お茶を楽しむシーンでは、飲むだけではなく、その淹れ方などにこだわり、体験を共有すること。それは「プレミアム化」につながり、コーヒーや紅茶に劣らず、世界に誇る「OCHA」ブランドを確立できるのではないだろうか。

 また、日本には、いわゆる緑茶だけではなく、ほうじ茶、コーン茶、黒豆茶など茶葉だけではない多くのお茶が存在する。多くのフレーバーを楽しめることで、お茶を飲むシーンを増やすこともできる。さらに、海外で流行しているように、ヘルシーフードとして日本でより大きなブームが起こせるのではないだろうか。

 お茶は日本に定着している飲み物であるが、マーケット拡大の可能性を秘めている。

 さて、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大で、未曽有の危機が続いている。自粛が続く中、人々の飲食シーンだけでなく、ライフスタイルに大きな影響を与えている。終息後も、人々のライフスタイルは変化し続けるだろう。そういった中で、外食、中食、内食の在り方も変化するだろう。外食マーケットの成長を考える際、新たなフェーズに入ることが予想される。そのことについては、どこかの機会で述べたいと思う。早く、日本中で、世界中で、この事態が終息することを願ってやまない。

著者プロフィール

有木 真理(ありき まり)

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員。1998年、同志社大学を卒業後、外食チェーン店へ。6年間勤務したのちに、フリーのフードコーディネーターに。2003年、リクルートに入社し、『ホットペッパーグルメ』に従事。全国の営業部長を経たのち、2017年、リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300回以上。ジャンルは立ち飲み〜高級店まで多岐にわたり、全国の食に詳しい。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。食を通じて「人」と「事」をつなげるイベントオーガナイザーも務める。自らが「トレンドウォッチャー」として情報発信を行う。


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