緊急事態宣言が出された当初、東京都と国の休業要請対象業種は一致しておらず、ホームセンターは東京都の休業要請業種とされていたものの、協議の末、社会生活を維持するために必要な業種として、休業要請から外れたという経緯があったことを覚えている方もいるだろう。
幸いにも、店舗営業を維持できたホームセンターは、自粛期における消費の受け皿として多くのお客を集めることになった。その過熱ぶりは“3密”の状況を作り出しているとして、マスコミなどでもたびたび取り上げられ、多くのホームセンターが一部売場を閉鎖、土日の営業自粛を行う、などの対応を取らざるを得ない状況になったほどだった。店舗側では、消費者に対して、不要不急の来店自粛や、一家そろっての来店を避けるよう呼び掛けたが、それでもこの間の店の混雑はあまり緩和しなかったようだ。
大型商業施設が休業する中、ホームセンター企業の多くが売上を伸ばした。表は主要上場ホームセンターの対前年比売上増減率(既存店べース)であるが、軒並み増収となっていることがデータでも明らかだ。
大型ショッピングモール並みの広さの店舗がウリのジョイフル本田は土日営業を自粛し、広い家具売場を持っている島忠は生活必需品以外の売場閉鎖などで、意識的に来店を抑制したため減収となったが、その他の企業は増収となり、なかでも首都圏や京阪神に店舗網を広げている企業(コーナン商事、ケーヨー)が、1割以上の顕著な増収を記録したことがみてとれる。ホームセンターという存在は、大都市圏では若干影が薄い存在であったのだが、コロナ禍によって多くの消費者が来店したという何とも皮肉な結果となった。
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