緊急事態宣言が発出されて以降、夕方になると、東京都をはじめとする新型コロナウイルス新規感染者数のニュースをチェックするのが習慣化してしまった。検査体制の不備が指摘されているわが国では、新規感染者数がウイルス感染状況を正確に示すものではないといわれてはいるが、この数値が下がっていかないと経済活動の再開に向かえないと思うと、祈るような気持ちで推移を追わざるを得なかった。
幸いにして、新規感染者数が減少に向かい、5月には39府県が宣言解除に至り、続いて関西3府県も解除となった。残る地域についても当初の期限前に解除されたことで、ひとまずホッとしている人は多いだろう。休業・自粛要請がこのまま続いたら、ウイルスの犠牲者をはるかに上回る人数の人が経済的に封殺されてしまう。「新しい生活様式」という制約はあるにせよ、経済活動が少しずつ復旧に向かうことができれば、この真っ暗な長いトンネルにも小さい光が見えてくるに違いない。
緊急事態宣言下では「社会生活を維持するために必要か否か」という分類がなされ、これを基に休業や自粛が要請されたことで、店舗ビジネスにおいてもその運命は大きく分かれた。百貨店やショッピングセンターのような大型商業施設は生活必需品売場を除き、ほとんどが休業することとなり、かつてない大幅な減収を余儀なくされた。
また、大型商業施設のテナントである専門店やアパレル業界なども大打撃を受け、老舗アパレルのレナウンは、法的整理を選び、いくつかの地方百貨店は閉店を決めた。一方、生活必需品販売業として店を開き続けることを求められた食品スーパーやドラッグストアなどは大きく売り上げを伸ばした。しかし、こうした業態もいいことばかりではなく、現場スタッフを感染リスクから守りながら大量の来店客に対応するという厳しい環境には置かれているのだが、店舗を開けることもできず、固定費の流出に耐えねばならなかった企業のつらさはいかばかりか。経営のよしあしといった問題とは関係なく、事業継続の危機に直面することになるのだから、仕方ないとはいえ「不条理」としか言いようがない。
そんな状況下で、社会生活の維持に必要かどうかの境目とされた業態の一つが「ホームセンター」である。
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