数年前から始まった、働き方改革。当初は労働時間の短縮が大きなテーマであった。関連する法律も施行され、労働時間の削減がここ数年、多くの企業で実施されてきた。とはいえ、まだまだ多くの企業が長時間労働を行っており、さらには労働時間管理が厳格となり、部下が残業しなくなった分のしわ寄せが中間管理職に押し寄せているというケースも散見する。
結局、労働時間を減らそうにも、仕事量が変わらなければ誰かが対応しなければならず、メンバーの残業を減らすことにより、そのしわ寄せがマネジャーに押し寄せてしまっているのである。
ある投資銀行アナリストが、こうした状況を表した言葉がある。いわく、「労働時間を減らせば、生産性が上がるという短絡的な考え方が目立つ。これは逆。生産性が上がったときに、労働時間が減る」。このような問題意識も徐々に根付きつつあり、働き方改革のテーマが「生産性の向上」に移ってきたのも当然の帰結である。
では、生産性とは何を指すのか。この生産性について、立正大学学長の吉川洋経済学部教授が的確に表現されている。日本経済新聞のインタビュー記事内で、「1時間あたりに作れるまんじゅうの数を増やすのが技術的な意味の生産性上昇だ。これに対し、世の中の変化に合わせて売れるまんじゅうを新たに作り出すという生産性上昇もある」と発言している。
このうち前者が、「効率性の向上」であり、後者が「創造性の向上」である。
【参考】「超高齢社会 発明の好機 吉川・立正大教授に聞く」(日本経済新聞)
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