コロナ禍は、地権者だけが得をする「不労所得スパイラル」を食い止められるか小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)

» 2020年06月29日 05時00分 公開
[中井彰人ITmedia]
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今後は首都圏でも「右肩下がり」が起こる

 コロナ禍の最中、東京都の人口が1400万人を突破したと報じられた。日本の人口減少が進みつつある中で、東京を中心とする首都圏への一極集中はいまだ進行中なのだ。

 これまで、大半の店舗ビジネスは、拡大基調の大都市圏でのシェア競争が主戦場だったが、コロナ禍によって、その手法も見直しを迫られることになった。ただ、考えてみれば、コロナ禍が強いる制約は、今後、首都圏でも起きるはずである「右肩下がり」の予行演習だと考えることもできる。限界まで一極集中した首都圏は、若年人口の減少と高齢化の進行が進み、生産年齢人口の急速な減少時代を迎えることは目に見えている。店舗のアクティブな顧客層が急減することへの対策は、いずれにしても近いうちに用意しなければならなかったのである。

 歴史が繰り返すなら、感染症は数年内には消え去って、きっとすぐ昔話になるのだろう。コロナ対策は一時しのぎかもしれないが、ウィズコロナ期の知恵が、その後も続くであろうこの国の構造的変化を乗り越えるためのヒントになると期待したい。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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