コロナ直撃の東海道新幹線 消毒、換気に続くJR東海の対策は「薬師如来」大型連休中には利用者数が対前年6%に(2/4 ページ)

» 2020年06月29日 16時00分 公開
[村田和子ITmedia]

窓が開かない新幹線 三密対策を検証

 緩和を受けて、新幹線で出張や観光へという人も、今後多くなることだろう。「やっと」という安堵とともに聞こえてくるのは、移動中のコロナウイルスへの不安の声だ。三密の中で、もっとも気になるのが「密閉」だ。「密集」「密接」は、ある程度、自衛で対策のしようもあるが、「密閉」は何ともしがたいケースが多い。

 窓が開かない新幹線は、対コロナの安全性は保たれているのだろうか?

 結論からいうと、新幹線は走行中・停車中に関わらず、空調や換気装置により、常に外気を取り入れる設計になっており「計算上では約6分〜8分で車内の空気は入れ替わる(JR東海)」という。他の新幹線を有するJR各社にも確認をしたが、同様の設計で密閉空間ではないとのことだ。

 考えてみれば感染症は新型コロナウイルスだけではない。コロナ禍の前より、国では換気に関する基準をさまざまな場所に設けており、換気の車両設計基準も定められている。日本で運行する全ての新幹線車両は、その基準を十分満たすということなので、ひとまず安心していいだろう。本論からそれるが、同じく窓の開かない飛行機も、機内の空気は約2〜3分で外気と入れ替わるため、換気という意味では心配ないといわれている。

photo 約6分〜8分で車内の空気は入れ替わる設計だ。「エクスプレス予約」「スマートEX」を利用すれば、シートマップをみながら、自分で密を避けた好みの座席を指定することが可能(JR東海提供)

密を避けた座席を指定 混雑予想時には増発も

 つぎに「密集」についてだが、新幹線の車両は、頭上に荷物の置き場として空間が広く確保されている。また座席のシートピッチもゆったりとしており、移動手段の中では、ソーシャルティスタンスは広めに保たれている。さらに指定席の手配に際しても、同社のネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」を利用すれば、シートマップをみながら、自分で密を避けた好みの座席を指定することが可能だ。窓口で駅係員から対面購入する場合にも、空席情報を案内しながらできるだけ密にならないような座席を提案してくれるという。

photo 座席の消毒も徹底している

 そうはいっても、上記はあくまで予約時の話。いざ乗車をしたら、周りが密な状況ということも十分起こり得る。これについては「車内で車掌にいっていただければ、空席状況にもよりますが、できるだけ柔軟に対応をします(JR東海)」とのことだから覚えておきたい。

 また3人掛けの中央の席(B席)は、居心地がいまひとつ。勝手ではあるが、コロナ禍前のような3人掛けまでガッツリと埋まる状態は、換気はされているとはいえ、不安が募る。これに対しても「販売状況をみながら混みあうことが予想される場合は、列車の増発を行い、車内での密を避ける取り組みをする予定(JR東海)」だという。東海道新幹線の座席予約は、いまやネット予約サービス経由が4割を超える。そのため、需要の予測を行い適切な時期に増発などを行うことで、車内の密を避けることは可能だという。

photo ソーシャルティスタンスを確保するなど従業員の感染防止にも努めている(JR東海提供)

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