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コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析doda編集長に聞く(2/3 ページ)

» 2020年06月29日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

未経験求人、コロナ禍でなぜ急減?

 コロナ禍において未経験者の求人が経験者より少なくなっているのはなぜか。喜多編集長は「未経験者を採用する場合、企業にとって教育投資が確実に必要になる。その人の採用によって(採用コストに見合った)『生産性』が得られる時期は、経験者の場合に比べて遅れることになる」と指摘する。即戦力にならず教育コストもかかる未経験者は、経験者に比べて企業内での短期間で見たトータルの費用対効果が高くなく、景気回復の見通しが立たない状況では敬遠されてしまいがち、という訳だ。

 ちなみに、こうした現象はコロナ禍特有のものか、それとも不景気ではよくあることなのか。新型コロナを巡っては、急激なテレワーク化を受けて新人や中途人材への研修もオンラインに移行したものの、うまくいかない事例も多く報告されている。

 ただ、喜多編集長は「過去の不景気とこの状況は変わらないと見ていい」と断じる。「コロナによるリモートワーク化で生じる教育投資は、経験者・未経験者採用のいずれでも変わらない。確かに新卒・中途のどちらも、研修がオンラインになって難しくなっているという話は聞く。ただ、こうした研修の困難さから採用自体を止める、という事態にはなっていないようだ」。

 さらにはこうした「未経験者不利」な求人の傾向は、職種や業界を問わず広く発生している、と分析する。「リーマンショックの時は、証券・銀行など金融業界の求人数が大きく落ち込んだ。だが今回は、特に『未経験者』求人に絞ればどこも等しく減っている印象だ」(喜多編集長)。

 求人数の急減だけでなく、未経験者採用の減少により業界・職種間の“スライド”も難しくなりつつあるコロナ禍の転職市場。心機一転して違う業界に飛び込もうと思っている人には特に厳しい状況とも言える。では、逆に求人が増加する業界はあるのだろうか。

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