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» 2020年06月29日 09時41分 公開

アフターコロナ 仕事はこう変わる:freee佐々木大輔CEOが語る「中小企業にテレワークが浸透しない」納得理由 (2/3)

[香川誠,ITmedia]

押印文化はなくせるのか

――貴社が4月に実施したテレワークに関するアンケート調査では、中小企業の64%でテレワークが許可されておらず、許可されていてもテレワーク中に出社しなければならない人が77%もいたという結果が出ました。せっかくテレワークが実施されたのに、出社しなければならなかったのはなぜでしょうか。

 完全テレワークができない理由として多かったのは、取引先から送られてくる書類などを受け取るために出社せざるを得ないというものでした。自分たちからの発送は減らせても、送られてくるものは減らせない。自助努力によるテレワークにも限界があるのだと思いました。

 出社頻度についても、インターネット業界にいる私の感覚からすると週に一回ぐらいでいいのかなと思ったのですが、実際にはそれ以上になってしまう会社も多かったようです。

photo 中小企業の64%でテレワークが許可されていなかった(freeeのWebサイトより)

――調査では、契約書などに押印しないといけない、資料が紙であるから会社に行かないといけないといった理由も多かったようですね。

 そういった古い習慣は根強くあるようで、契約書だけでなく、請求書や見積書にまで押印を求める会社も多いようです。これを機に「そのハンコ、必要なんだっけ?」といった形で徹底的に見直したほうがいいと思います。

――押印が必要かどうかの見極めは?

 弁護士の先生にも確認しましたが、メール上でも双方が合意すれば証拠能力としては十分なので、そもそも必要ないものなのです。逆にハンコが押してあるからといって、証拠能力が上がることはないんですね。それがもう常識という会社もあれば、まだ当たり前の考え方にはなっていない会社も多くあります。「社内の規定上、押印が必要だから変えられない」という会社も多いようです。

photo テレワーク中に出社しなければならない人が77%いた(freeeのWebサイトより)

三菱UFJ、リクルート 大企業から変えていく対面前提の商習慣

――「営業はビデオ会議でやろう」「請求書や見積書の押印をやめよう」となっても、取引先があることなので、自社だけの取り組みでそれを進めるのは難しくありませんか?

 もちろん社会全体が変わっていかないと難しいことなので、当社は5月1日から「#取引先にもリモートワークを」というムーブメントを立ち上げて、賛同企業や団体の皆さんと新しい取り組みを始めました。これは自社だけでなく、自社の取引先のリモートワークを可能とするアクションを決めていただき、「#取引先にもリモートワークを」というハッシュタグとともにSNSなどで公表してもらうというものです。

 例えば当社では、契約書面のなつ印を原則撤廃とすることや、取引先などとの全ミーティングについてビデオ会議で対応することなどをアクションとして公表しました。

――賛同企業には三菱UFJ銀行やリクルートなど、大きな会社も名を連ねていますね。仕事を受注する側に立つ中小企業からすると、自分たちから取引先に「リモートでお願いします」と言えないので、大企業がこういう取り組みを進めてもらえるのは助かると思います。

 全体のインパクトを考えると、大企業にも賛同していただけた意味は大きいと思います。大きな企業がシステムを整えるには時間もコストもかかりますが、小さなことにも取り組んでいく事例を積み重ねていけたらいいですね。今はまだ「お金をもらう側が払う側に合わせるのが当たり前」といった考え方をする企業が多いと思いますが、業種や企業規模に関係なく、世の中全体の書類手続きや商談などがリモート対応を前提にしていく必要があると思います。

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