「超満員」がなくなった時代に、横浜DeNAベイスターズ初代球団社長が考えるスポーツビジネスの“ニューノーマル”池田純のBizスポーツ(4/4 ページ)

» 2020年07月13日 05時00分 公開
[池田純ITmedia]
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何でもやってみる

 そんなことは理想論だ、非現実的だと思う人もいるかもしれません。しかし、数カ月前を振り返ってみてください。“Zoom飲み”なんてものをやろうと考えた人はいるでしょうか。私自身も「そんなのあり得るのか?」と最初は思っていました。しかし、あり得なかったものが、今や一定の市民権を得ている。私自身も「意外に使えるな」と思うようになりました。飲み会は、意思疎通を図るための一つのツールです。そう考えれば「これもアリ」と思える。何でもやってみるというマインドがないとニューノーマルは実現できません。

 以前は、家にいると家族に心配され、自分でもどこかに行かないと不安になることもありました。しかしニューノーマルな生活に慣れてしまえば、そんな旧来の考え方は気にならなくなります。今回のコロナ禍で、せっかく多くの人が新しい生活様式に慣れたのに、またいつコロナの時代に逆戻りするかも分からないのに、なぜそれを全て捨てようとしてしまうのか。さいたまブロンコスのクラブ経営においても、私は試合が行えない状況が続いた場合の“保険”をつくることしか今は頭にありません。先ほど紹介したもの以外でも、あちこちにバスケットボールをできる環境をつくり、スポンサーを集めて、アカデミーの生徒を集めていく。そんなデュアルインカムを実現しようと動いています。

 それは、スポーツに限らず日本の社会全体に必要とされている考え方です。100%元に戻ることを願い、それを前提に動いているような経営者に経営を任せていても、良い結果にはならないでしょう。「ニューノーマル」を早急につくりあげること。それが今、まさに求められているのです。

著者プロフィール

池田 純(いけだ じゅん)

早稲田大卒業後、博報堂等を経て2007年にディー・エヌ・エーに参画。

2011年に35歳という史上最年少の若さで横浜DeNAベイスターズの初代球団社長に就任。

2016年まで社長を務め、さまざまな改革を主導し球団は5年間で単体での売上を倍増し黒字化を実現した。

退任後はスポーツ庁参与、明治大学学長特任補佐、Jリーグや日本ラグビー協会の特任理事等を歴任。

現在はさいたま市と連携しスポーツで地域創生、地域活性化を図る(一社)さいたまスポーツコミッションの会長も務める一方、

大戸屋やノジマ等企業の社外取締役からITやゲーム業界、スタートアップ等の顧問も務める。

池田純公式サイト「Plus J」: https://plus-j.jp/


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