米プロフットボールのNFLでは、証券会社の著名アナリストがチームの幹部として働いていたりもします。米国のプロスポーツ界では、多くの人が臨時の仕事を持つデュアル(2つの)インカム、デュアルライフスタイルが当たり前になっていることに、私はかねて興味を持っていました。
3月、私はB3埼玉ブロンコス(7月1日付で「さいたまブロンコス」に改称)のオーナー兼取締役に就任し、スタッフを総入れ替えするなど経営の健全化に取り組んでいます。その中でコロナの影響をもろに受けたことで、新しい選手との契約形態にチャレンジすることを決めました。自身のアパレルブランドを持つモーガン・ヒカル・エイケン選手とは「選手兼アシスタントデザイナー」として契約を結び、チームグッズのデザインなどを担当してもらうことにしました。コーチのライセンスを持つキャプテンの田中良拓選手とは「選手兼アカデミーコーチ」として子どもたちにバスケットボールを教え、地域との交流を図るスクールのコーチの役割を期待しています。
もはや会社に“おんぶに抱っこ”な社員はいりません。バスケットボールの選手がバスケットボールをできなくなったらどうするのか。そうした緊急事態が起こったときでも生きていけるような別のインカムを確保してほしい、と考えています。そこで、さいたまブロンコスでは、みんながデュアルインカムを持つ形を「ニューノーマル」と捉えています。極端な話、仮に今年はこのままコロナの影響で試合ができなかったり、その結果として仮に会社の経営が成り立たなくなったりしたときに、選手としての給料がゼロでも問題ない。そういう人しか雇わない、くらいに思っています。
私が今回を機にもう一つ取り入れた「ニューノーマル」が「もはやオフィスなんかいらない」という考え方です。かつての運営会社のオフィスにあった4トントラック3台分ほどの荷物は全て廃棄処分にしました。今、オフィスは登記上必要なシェアオフィスだけです。
ミーティングは、ほぼ全てZoomでやっています。週1回、実際に会って温度感を共有さえすれば、あとはZoomと電話で十分。選手契約も、契約交渉も、記者発表も、全てZoomで行うようにしました。社内の飲み会も、今は全てZoomです。7月1日に発表した新しいチーム名、ロゴ、チームカラーの話など全て、週1回Zoomで開くアイデア会議で決めました。
ベイスターズ初代球団社長が語る、コロナ時代に必要な「変える力」とプロ野球生き残りの道
新型コロナで延期となった東京五輪 「無観客」でも分かれた各界の対応と問われる「スポーツビジネス」の本質
ここにきて、プロ野球以外でもIT企業が続々とスポーツビジネスに参入するワケ 「ITスポーツ第2世代」の狙いに迫る
テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た
話題の「社員PC監視ツール」がテレワークを骨抜きにしてしまう、根本的理由
テレワーク中にサボっていないか、日本企業が従業員を熱心に監視してしまう理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング