特に厳しいのが20代の若年層だ。日本人全体では「警戒」水準は全体の36%だったが、20代では比率が53%まで高まる。年齢の高い層では、公的年金や確定給付年金などのサポートが見込まれる反面、若年層は見込み難いため、いっそうの自助努力が必要となる。しかし、収入から貯蓄に回す比率を示す貯蓄比率は7%と低く、しかもその運用方法は44%が銀行預金などの元本確保型だ。
若い人ほどスコアが低く、「警戒」水準が半数に(フィデリティ資料より)
一方で、退職希望年齢は、若年層が最も低く、63歳。「若い人ほど早くリタイアしたいと考えている。50代を見ると、所得が高いほど早くリタイアしようとしていて、これは分かる。しかし、若くなるにつれて、退職希望年齢が若くなっている。もう一つの課題だ」(野尻氏)
海外と比較すると、退職準備スコアが最も高いのは米国だ。しかし、55歳以上のシニア層でくらべると、日本と米国で大きな差はない。一方で、20〜38歳の若年層では、15ポイントもの差が付いた。その理由は、社会保障や公的年金などのサポート体制の違いが大きい。ただし、資産をどのように運用するかについても国によって違う。
例えば、日本では銀行預金などの元本確保で運用する人は44%だが、米国では11%に過ぎない。一方で、年齢に連動して株式への投資比率を変更していく「ターゲット・デイト・ファンド」などのライフサイクル型は、日本では2%だが、米国では17%もある。
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