何が問題だったのか? コンビニ、24時間営業問題の本質利害の対立(1/4 ページ)

» 2020年07月18日 07時00分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。


 新型コロナウイルス騒ぎですっかり話題から消えた格好になっているが、日本でも感染が拡大する直前の2月頃まで、コンビニの24時間営業問題が随分と議論されていたものだ。

 元々は大阪府にあるセブン-イレブンのフランチャイズ(FC)店のオーナーが、人手不足などの理由から本部に無断で時短営業に踏み切ったことから騒動が始まった。当初は「契約違反だ」「この人手不足の時代に深夜バイトは雇えない」「その代わりに毎晩レジに立たないといけなくなってしまうFC店オーナーにも、人間らしい生活を送る権利がある」といった辺りまでは、比較的まともな議論が交わされていたと思う。

 しかし「そもそも24時間営業する必要があるのか」「いや、既に社会インフラとなったコンビニ店には責任がある」「コンビニが消灯したら深夜の帰り道が暗くて物騒だ」などと、各種メディアが取り上げるにしたがって論点が核心から逸れていった記憶がある。

 それはさておき、経産省がコンビニの24時間営業について柔軟な対応を求める提言を行ったこともあってか、当事者たちは事態の収拾を進めたようだ。

 ファミリーマートは大規模な時短営業の実験に踏み切ると共に、業界で率先して加盟店が時短営業を選択できるようにした。ローソンも深夜休業対象店舗を拡大すると共に、セルフレジ決済の実験を進めている。当初頑なに24時間営業にこだわっていた最大手のセブン-イレブンでさえも、本部了承を条件に営業時間の短縮容認に転じている。

 それにしても何が問題だったのか、整理してみよう。

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