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» 2020年07月17日 07時00分 公開

古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」:オープンハウスがコロナでも”契約件数大幅増”を達成できたワケ (1/2)

コロナ禍の中大きな影響を受けた不動産業。しかし、そんな状況下で異彩を放つ企業が存在する。それは、オープンハウスだ。コロナ禍前を上回る水準で株価が推移している。その背景には、リモートワークが広まる中で、同社が得意とする低価格な戸建ての需要がある。

[古田拓也,ITmedia]

 コロナ禍で最も大きな影響を受けた業種のひとつが「不動産業」だ。日経平均株価がコロナ前の水準である2万3000円台をうかがう中、不動産セクターは戻りが特に鈍い。

 1月時点と比較すると、不動産業全体の株価指数は、ここ半年で▲27%となっていた。一時は▲10%台まで切り返す局面もあったが、都内で“第2波”が懸念されていることもあり、積極的な買いが入りづらい状況となっている。しかし、そんな状況下で異彩を放つ企業が存在する。それは、オープンハウスだ。

不動産セクターで異彩はなつオープンハウス

 オープンハウスの株価は、5月中旬から日経平均株価の回復スピードを上回る速度で上昇しており、一時は年初から+23.4%となった。直近では、500億円規模の公募増資による希薄化の懸念もあって、+8.3%へと落ち着いている。しかし、これほどの増資発表を受けても、コロナ禍前を上回る水準で株価が推移していることは特筆すべきだ。それではなぜ、今オープンハウスが伸びているのだろうか。

投資家うならせた月次業績

 オープンハウスが7月10日に公表した「6月の戸建て関連事業の業績動向について」によれば、同社における戸建ての仲介契約件数は、4月に前年同月比で約4割減となった。「都内の戸建てを手に届く価格で提供する」というビジネスモデルで成長してきた同社にとって、東京を中心としたコロナ禍の拡大は命取りとなってもおかしくはなかったはずだ。

 しかし、市場関係者をうならせたのが5月と6月の戸建て仲介契約件数である。同社は5月に前年同月比で1.43倍、6月には1.52倍という契約数の伸びを記録している。20年4〜6月の累計でみても、1.18倍ほど仲介契約件数が増加していることから考えると、4月に契約できなかった分が単純に5月、6月に繰り延べられたわけでもなさそうだ。

 ここから、コロナ禍によって消費者の「家」に対するニーズに何らかの変化が発生した様子が推定される。家のニーズに変化を及ぼし得るものとして浮かび上がってくるイベントといえば「テレワークの普及」ではないだろうか。

 Biz Hitsが6月に実施した「リモートワークの悩みに関する意識調査」によれば、コロナ禍によるテレワークの悩みとして「家族がいて集中できない」という意見が最も多く、全体の20%を占めた。そのほかにも、オンオフの切り替えが難しいといった意見や、近隣の音が気になるといった悩みをもつ者も多かった。

リモートワークの悩みの背景には、家の環境が追いついていないというギャップがある(ビズヒッツ調べ)

 ここで筆者は、オープンハウスがコロナ禍でも契約件数を伸ばせた要因として、リモートワーク機運の高まりに対して、家の環境が追いついていないという“ギャップ”にマッチしたビジネスをオープンハウスが展開していたことにあると考える。その理由は以下の通りである。

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