【編集履歴:2023年6月14日21時30分 タイトルと本文の一部を修正・加筆しました】
1万円で納豆ご飯定食が生涯食べ放題――。
ちょうど1年前、茨城県の納豆ご飯専門店「令和納豆」がクラウドファンディングを通して1000万円以上の資金調達に成功した。その立役者は、何といっても1万円以上の支援で配布された「納豆定食生涯無料パスポート」にあるだろう。しかし先月から、「無料パスが没収された」という旨の苦情がSNS上で炎上し、店舗側がその対応に追われている状況だ(編集部注:実際には、店舗側は利用規約に同意しない客に全額返金を実施した)。
納豆ご飯専門店の令和納豆のWebページ。トップページに、無料パスポートの権利失効に関してのお知らせが掲載されている
確かに、クラウドファンディングに際して、令和納豆側は「無料パスで経営が傾くことはない」という趣旨の投稿をしていた事情もある。しかし、コストとリターンのバランスを考えると、無料パスは「見えている地雷」であり、避けるべき案件であることが明白であった案件であると筆者は考える。
そこで、今回は無料パスにおけるコストとリターンの適性バランスを分析し、その適性価格はいくらだったのかを検討していきたい。
無料パスの“年利”はいくらだろうか。無料パス取得に必要な支援額は1万円だ。そして、この無料パスを使えば500円の納豆定食を1日1食、生涯無料で食べられる。つまり、本件は「日利5%の投資案件」という見方もできる。ただし、納豆定食は「複利」ではなく、同額のリターンを継続的に得られる「単利」となる。それでも365日無料で納豆定食を食べ続ければ、1万円に対して20万円以上のリターン、年換算で2000%以上の利回りを享受できてしまう(編集部注:ただし同社は無料パスポートの発行にあたって、有料メニューも注文することや支援者以外の客も連れて来店することを任意で求めていた)。
それでは、リターンを継続的に得られる性質のクラウドファンディングにおいて、安全なリターンの目安はどのように見極めるべきだろうか。
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