これを令和納豆の事例に当てはめると、無料パスの適正価格は次のプロセスで決定されるべきであったと考えられる。
まず、飲食業の粗利率が60%から考えると、無料パスの年利は友の会の事例を参考に、粗利率の60%を超えない範囲で提供されるべきだろう。次に、パス保有者が平均して何日に1回利用するかを想定すべきであった。最後に、パス保有者の平均利用年数を想定すべきだ。
具体的な数値を仮定しつつ当てはめてみよう。平均して、無料パスが「7日に1回」利用されると仮定すると、顧客が年間に享受する納豆定食の累計は2万6071円相当となる。ここから、無料パスの1年あたりの適正価格は2万6701円の粗利率60%を超えない1万6201円以上となる。最後に平均利用年数を「30年」と仮定する。その結果、「納豆定食生涯無料パスポート」の適正価格は48万6030円となる。
パラメーターとなる数字の置き方にもよるが、ある程度保守的に見積もっても無料パスは数十万円を下らないだろう。そんなパスポートを1万円で提供している時点で、持続可能な制度にすることは不可能だったといっても過言ではない。
中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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