気付けば日本に30店舗 コストコが女性から熱狂的に支持される理由日本に進出して21年(2/5 ページ)

» 2020年07月21日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

強大な仕入れ力を誇る

 コストコはこの巨大な売上高をバックとした強大な仕入れ力を持っています。同時に、プライベートブランド(PB)の商品開発力も高く、同社のPBである「カークランド・シグネチャー」の売り上げはすでに4兆円を超えています。強大な仕入れ開発力の次は商品開発力によって、低価格での商品提供を実現させているのです。

 通常はこれだけのバイイングパワーと開発力を持てば、より利益を稼ぐ方向に流れるものですが、同社の粗利率は今も低く、営業利益率も高いとは言えません。できるだけ低い粗利率と、無駄な経費をかけない圧倒的な販管費率の低さによって、会員にいいものを安く提供するという姿勢を貫いているのです。結果的に日本ではあまり見たことがないおもしろい商品が店に並ぶようになり、女性たちがこぞって買い物に行きたくなる店として支持率が高まっているのです。

主要小売業との経営指標比較

コストコ最大の強みは「会員制ビジネスである」こと

 コストコ最大の事業の要は「会員制ビジネスである」という点です。

 これは創業当時から変わっていない事業の肝です。

 同社の展開する業種は正確には「ホールセラー」と呼ばれます。ホールセラーとは卸売業者のことです。卸売業者が卸値で会員に対して販売するという業態がホールセールクラブです。もともとは小売業や飲食業など事業者を対象に販売していたものを、会員の幅を拡大し、一般企業、ついには一般消費者にまで門戸を広げて商売をするようになったのがホールセールクラブの歴史です。

 コストコはシアトルの1号店オープン当時から、法人会員と個人会員の両方を用意していました。当初より両方の会員拡大を狙っていたようです。今の会員制度は実は創業時から続いているのです。

 コストコの企業哲学は「常に経費を節約し、その分を会員の皆様に還元していこう」という、大変シンプルなものです。

 コストコは会員制です。会員になるには年会費を支払う必要があります。日本では法人会員で3850円(税別、以下同)、個人で4400円を毎年支払わねばなりません。それにもかかわらず、日本での会員は増え続け、19年度で600万人を超えています。しかも驚くのが、カード更新率が80%以上あるという点です。今どき、流通系カードはほぼ無料という時代に、有料でも会員であり続けたい客がこれだけいるというところにコストコの強さが見えてきます。まさに、ディズニーランドの年パスを買うような感覚であり、コストコに行くこと自体がレジャー化している証です。

 ちなみにコストコの世界での会員数は増え続けており、19年度で9850万人います。有料会員だけで見ても5390万人です。世界で約1億人のファンクラブを持つ会社と言えば分かりやすいでしょうか。この会員組織がコストコ最大の強みです。

コストコの会員数の推移

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