足元における都内の感染者急増からも、私たちは一層のコロナ禍の長期化について覚悟しなければならなくなった。ただでさえ第一波で疲弊している観光産業について、コロナの影響が少ないエリアでも東京と同じような自粛ムードを敷けば、今度は以前と比較にならない数のコロナ破綻が発生するリスクもある。
ここで星野リゾートが提言する「マイクロツーリズム」に注目したい。マイクロツーリズムとは、一言で言えば「地元旅行」だ。感染が著しくないエリア内での旅行を促進することで、感染拡大を防止しつつ、地域経済の活性化を両立するという趣旨だ。
コロナ禍によって、観光業が掲げてきた「インバウンドを含めた遠方からの観光客の取り込み」という方針も、「マイクロツーリズム」の趣旨を取り入れたものへと軌道修正していく必要があるのかもしれない。
今年の訪日客は4月、5月続けて前年比−99.9%となっており、訪日客の需要急増は目下もはや期待できない。現に、そのような状況の中、これまで多くの訪日客を取り込んでいた自治体が地元に目を向けたキャンペーンを実施する例もみられる。
京都市が、6月19日から京都市民向けに開始した「地元応援!京都で食べよう、泊まろうキャンペーン」だ。これは、市民限定で、地元の飲食店や宿泊店を利用する際、特別なプランやメニューを利用できるというもので、利用者には合わせて1万円相当の景品が抽選で当たるという。
これまでは訪日客で混雑していた京都市の観光地。市民の中にも京都市の観光がご無沙汰となってしまった人々もいたことだろう。しかし、コロナ禍による訪日客の減少は、地元の観光を敬遠していた人々が、再び地元に目を向ける「マイクロツーリズム」活性化のチャンスでもある。
各地の観光産業がコロナ禍で息を吹き返すには、これまで目を向けていなかった地元の住民や近隣エリアの住民をターゲットとした戦略を練っていくことが求められる。
中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
Twitterはこちら
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング