日産自動車は7月28日、2021年3月期の最終赤字を6700億円とする連結業績予想を発表した。収益確保に向けて事業構造改革を進める中で、新型コロナウイルスの影響による販売不振が重なり、前期と同じ水準の赤字を計上する見通しだ。世界的に市場の先行きが見通せない中、厳しい環境で収益改善の取り組みを強いられる状況が続きそうだ。
20年4〜6月期は、新型コロナによる需要縮小で販売台数の落ち込みが大きかった。グローバルの販売台数は、前年同期比47.7%減の64万3000台。市場全体が縮小した影響を受けた。売上高は50.5%減の1兆1742億円。営業損益は、販売費や固定費を計画通り削減したものの、販売台数の減少が響き、1539億円の赤字だった。
特に、北米の販売台数は50.8%減と大幅なマイナスになった。オンラインで会見した内田誠社長は「米国の状況は非常に厳しい」と話した。一方、レンタカー向けなどのフリート販売を減らしたり、インセンティブ(販売奨励金)の上昇を抑えたりと、「台数を追わない」取り組みを強化している影響もあるようだ。4月に20%以上だったフリート販売の比率は6月には10%以下に減少。市場のシェアも向上している。
日本の販売台数は33.7%減。緊急事態宣言などの影響で、販売店の来店客は最大6割落ち込んだ。日本市場への投入が遅れていた新型車の発売を急いでおり、3月に発売した軽自動車の新型「ルークス」や、6月末に発売した新型SUV「キックス」で、今後回復する需要の獲得を目指している。キックスは発売から約1カ月で1万台以上を受注したといい、滑り出しは好調のようだ。
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