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» 2020年07月29日 07時00分 公開

ワークフローシステム導入のポイント:社内稟議・決裁をスムーズに行う工夫とは (3/4)

[企業実務]

【事例1】購買前の事前申請の徹底

 A社は、首都圏を中心に12の介護事業所を運営しています。ワークフローシステムを導入する前は、購買稟議の管理が徹底されておらず、請求書が回ってきてから経理が把握するような事後承認が常態化していました。

 ワークフローシステム導入と同時に、購買稟議の事前申請を徹底し、見積書を添付したうえでの発注申請と請求書を受領した後の支払申請をひも付けて運営することにより、経理が把握していない費用の発生がなくなりました。

 紙の稟議書の場合は、どうしても承認までの時間と手間がかかっていたことから、発注前に稟議手続きを完了させることが難しかったのですが、ワークフローシステムを導入したことで手続きがスピーディーに行えるようになったことに加えて、発注申請と支払申請のひも付けがシステム上で容易にできるようになったため、経理側での管理が可能になりました。

 多拠点間での稟議手続きをワークフローシステムに置き換えることで、経営上も大きな効果があった事例です。

【事例2】金額に応じた決裁権限の設定

 B社は、医療機器専門の商社です。現在の規模は100名超ですが、全ての稟議手続きで社長決裁が必須になっており、社長が出張などで不在の際はあらゆる手続きが滞っていました。

 そこでワークフローシステム導入を機に決裁権限を見直して、社長決裁は100万円超のものに限定し、それ以下のものは部長職で決裁できるようにしました。

 ワークフローシステムを設定する際に、金額欄を見て承認経路が自動的に判定されるようにすることで、多くの稟議手続きが部長職での承認が可能になり、稟議手続きの承認スピードがかなり上がりました。また、社長決裁が必要なものについても、社長が社外にいても承認できるため、手続きが滞ることがなくなりました。

 決裁権限の見直しを行うことで、金額による承認経路の自動判定というデジタル化によるメリットを生かした事例です。

ワークフローシステム導入のポイント

 既存の稟議手続きをシステム上で運営するためには、ワークフローのきちんとした設計が必要不可欠です。ワークフローシステムは簡易的な設定しかできないものから、高度で複雑な設定ができるものまでさまざまです。まずは自社の稟議手続きの見直しと要件の洗い出しを行うことが重要です。

(1)申請経路の見直し

 紙の稟議書を回覧していたときは、何となく過去の慣習に従って運用していたかもしれませんが、システム上で設定するためには申請経路をきちんと定義しなければなりません。

 また、あらゆる稟議手続きの最終承認が「社長決裁」になってしまっていると、承認処理がたまってしまう要因にもなります。備品購入の場合などは金額基準を設けて、50万円未満は「部長決裁」を可能にするなどの経路と承認権限の見直しも必要です。

 見直しのために、まず社内の稟議手続きの承認経路を図表5のような一覧形式で整理します。

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 整理する際のコツは「そのまま一覧表にしてみる」ことです。この段階で「もうちょっとこうしたら」「ここに無駄があるかもしれない」などと考え始めてしまうと、作業がなかなか進みません。まずは社内の稟議手続き全ての申請経路を網羅することが重要です。

 現状の稟議手続きを全て書き出したら、それを見ながら申請経路を短縮できるものがないか、金額基準で分けられるものがないか、承認後の共有で十分なものはないかなどの見直しを行います(図表6)。

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 少額のものやリスクが低いものについては課長承認や部長承認にする、総務部や経理部などが内容を把握すればよい経路は承認後の共有などにする、という変更を行うことで承認までのスピードも上がりますし、承認者の負担も軽減できます。

 ワークフローシステムには、金額基準で分岐する条件の設定ができないものや、承認後の共有機能がないものなど、さまざまな種類があります。ワークフローシステムを選定する前に経路の見直しを行うことで、必要な機能要件を明確にすることができます。

 また、権限規定や職務分掌規定が定められている場合には、その改定も必要になりますので、ワークフローシステム導入の検討と同時にその点も確認しておく必要があります。社内規定は普段はあまり意識することがないかと思いますので、法務部門等に事前に相談しておくとよいでしょう。

 ワークフローシステムにいまの運用をそのまま乗せるだけでは効率化の恩恵を十分に受けられない場合がありますし、承認経路が複雑なほど、組織変更時などのメンテナンスも大変になります。シンプルで実用的な承認経路に見直すところから始めましょう。

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