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社内稟議・決裁をスムーズに行う工夫とはワークフローシステム導入のポイント(4/4 ページ)

» 2020年07月29日 07時00分 公開
[企業実務]
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(2)申請項目の最適化

 紙の稟議書の項目はもう何年も見直していなかったり、申請者によって記載内容がバラバラというケースも多いです。一方、ワークフローシステムでは、稟議手続きの内容に応じた申請項目の制御が可能になります。

 各項目をプルダウンで選択させるのか自由記述にするのか、どの項目を必須項目にするのか、申請内容に応じた項目になっているか、決裁者が判断するうえで必要な項目が網羅されているかなど、申請フォーマットだけで検討するべきことは多いです。

 出張申請を例に見てみましょう。一般的な稟議書は汎用的に使えるように件名、稟議内容など大きなくくりの枠が用意されています。多くの場合、社内ルールで「出張申請の場合は、内容に出張先、目的、費用を明記すること」などと定められていることでしょう。

 ワークフローシステムでは、稟議手続きに応じて申請項目を自由に設定できます。選択項目や日付項目を上手にカスタマイズすると申請者にも分かりやすくなり、承認者も内容が確認しやすくなります(図表7)。

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 紙の稟議書ではテンプレートを増やすと管理が大変になるので汎用的なものを使っている会社も多いですが、ワークフローシステムでは稟議手続きごとに申請項目を設定することが必要です。

 その際、「データとして蓄積していくこと」を念頭に置いておくと、後から申請状況などを分析する際に有用です。紙の稟議書ではかなわなかった検索性や一覧性を実現できるのがデジタル化によるメリットです。

 ワークフローシステムに限らず、システム導入の話になるとどうしても「どのシステムを導入するか」「いくらかかるのか」「費用対効果はあるのか」という話に終始してしまいがちですが、まずは既存の業務を整理して、再構築することが重要です。

 特にクラウドシステムについては、システムに合わせて業務を構築することを前提としていることもあり、価格や機能を比較する前にまずは自社の要件をきちんと洗い出したうえで、それを実現することが可能なシステムはどれなのかを見極める必要があります。

 稟議手続きは、企業運営においては不可欠なものです。最初から完璧な仕組みを構築しようとするのではなく、まずは2、3種類の稟議に絞ってスモールスタートで検討と導入を行い、少しずつ対象範囲を広げていくやり方がおすすめです。

 稟議手続きをワークフローシステム化することによって、スムーズに行うことできるようになり、内部統制の構築や意思決定のスピードアップなど将来にわたって大きなメリットをもたらすはずです。先行き不透明な状況だからこそ、社内の手続きをスリム化して経営効率を上げましょう。

著者:武内俊介(たけうち・しゅんすけ)

株式会社リベロ・コンサルティング 業務設計士・税理士


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