そして冒頭のトランプ発言の前日である7月6日、「トランプ政権の切り込み隊長」となっているマイク・ポンペオ国務長官がまず口火を切った。米政府がTikTokを米国で禁止措置にする可能性を検討していると発言、ポンペオは「中国共産党に個人情報を奪われてもいいなら、ダウンロードすればいい」とまで言った。アプリを使うことで、スマホなどのデバイスから動画や個人情報などが中国に流れる懸念があるという。
そして、この翌日、トランプが「報復」として禁止すると語り、一気に物事が動き始めた。世界的にもこのニュースは大きく報じられた。
実はこれより少し前の6月29日には、中国と敵対するインド政府がTikTokを含む59のアプリについて、インド国内での使用を禁止すると発表している。その理由は、「中国のアプリがインドの主権と品位を損なわせる有害な活動に関与している」というものだった。要は安全保障上の脅威になり得るということだ。
とにかく、米中貿易交渉やファーウェイ問題など、これまで衝突してきた両国にとって、TikTokこそが次なる論争の主役になったといえる。現在、約45日後のタイムリミットまでの交渉期間となっている。米政府としては、TikTokの米国内でのオペレーションが完全にバイトダンスと切り離される必要があるとしている。
一方で、米政府を「盗人」と呼ぶ中国政府も、米国企業が提供するFacebookやTwitterなどの中国国内での使用を禁じている。また中国はこれまでも、米企業から散々、企業秘密や知的財産を盗んできている。あまり偉そうに言える立場ではない。
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