ネット証券では投資信託の販売手数料が無料になって久しいが、ついに対面型の証券会社でも手数料無料化に踏み切るところが現れた。8月17日に開業したきらぼしライフデザイン証券(東京都港区、以下KLD証券)は、投資信託とファンドラップを主力商品として位置づけながら、販売手数料を無料とする。
当初、手数料無料の投資信託を3銘柄用意するほか、預かり資産1000万円以上でいずれの投信も無料とする。
KLD証券は、八千代銀行、東京都民銀行、新東京銀行の3行が合併してできたきらぼし銀行の証券子会社だ。これまでも銀行の窓口で投資信託を販売してきたが、「専門性において不十分なところがあった。別会社を立ち上げて、幅広い商品をラインアップしてワンストップで提供する」(KLD証券の坂井陽介社長)のが狙いだ。
きらぼし銀行は対面コンサルティングを重視しており、KLD証券もきらぼし銀行の行員が窓口で提案して仲介を受ける形で投資信託などを販売していく。KLD証券自体は本店以外の店舗網を持たない。
対面販売で販売手数料を無料化したのは、同社によれば業界初。通常、投資信託販売の収益は、販売手数料と信託報酬の一部となるが、その片方をあきらめる形だ。
オンライン販売とは違い人件費のかかる窓口販売では、販売手数料がないと厳しいのも事実。信託報酬は預かり資産残高に連動するため、いかに額を積み上げられるかの勝負になる。そのため、きらぼし銀行とKLD証券では、営業員の評価体系においても、従来の手数料収益評価を廃止し、預かり資産残高に変更する。
時期は明言しなかったが、現在約2000億円ある投信預かり資産残高を倍増させて、4000億円を目指す。
残高積み上げのために狙うのは、きらぼし銀行が持つ預貯金だ。首都圏においてきらぼし銀行はシェア2%程度の預貯金を持つ。一方で、窓口販売での投資信託の残高シェアは0.2%程度しかない。「これを銀行預金並みのシェアにもっていけば、十分経営的に成り立つ。時間はかかっても着実に残高を積み上げていく」(坂井社長)
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