他県ナンバーが殺到!? 「Go To」除外の東京、集客の最前線を探る「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(3/5 ページ)

» 2020年08月18日 10時40分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

東京都民割を打ち出すホテル

 このように、さまざまな企画が提案されている。しかし、東京都民としては自分たちだけが「GO TO トラベル」キャンペーンから弾かれた不公平に納得しておらず、消費が鈍る一因になっている。そこで都民にも特典を受けてもらおうと、「東京都民割」を提案する企業が増えている。都民かどうかを確認するため、身分証の提示が必要なケースが多い。

 アパホテルが1泊5000円以上する都内のホテルを公式アプリから予約した場合、8月中に35%オフにするサービスを発表して大きな反響を呼んだ。東京在住または在勤者を対象に、クーポンを発行。そのクーポンを使った予約を必要としている。都内の小旅行、テレワークなどに利用されていて、既に予定の上限を超えたため、新規募集を打ち切った。

アパホテル六本木SIX。都民割なら35%オフで宿泊できた

 都内に10カ所あるプリンスホテルでは、東京都在住者限定で7月22日から「東京都民応援キャンペーン」を行っている。対象ホテルに宿泊すると、もれなく5000円分の館内施設利用券を配布。また、直営レストランやバーの料金が20%引きになる。

 東京プリンスホテルでは、これらに加えて東京タワーメインデッキ入場券などのプレゼントも用意している。また、今年の東京プリンスはインスタ映えするナイトプールを取りやめたが、宿泊またはデイユースのプラン利用者はプールを利用できるようにした。人数制限を実施しており3時間を上限としているが、顧客からは好評という。

東京プリンスホテルのプールは、今年は宿泊者とデイユース利用者のみが利用できる

 また、東京ステーションホテルなど、JR東日本系列の都内16のホテルでも、東京都在住者を対象に50%以上の割引を実施。朝食を無料にしたり5000円分のホテル利用券をサービスしたりしている。

東京スカイツリーは大盤振る舞い

 観光施設では、東京スカイツリーが8月7〜23日、展望台入場料が半額になる「東京都民50%OFF夏割キャンペーン」を実施。8割がキャンペーンを使って入場している。代表者の身分証で東京在住が確認できれば、一行全員の料金が半額になる大盤振る舞いだ。入場者を通常の2〜3割に制限しているため、整理券配布の上、ウエイティングになるケースもある。

 インターネットカフェ「マンボー」を経営するマンボー(東京都新宿区)では、新宿靖国通り店、新宿歌舞伎町店、渋谷センター街店の3店で、アプリをインストールした顧客を対象とする「東京都民割」を8月初旬から実施している。

東京都民割を提案したインターネットカフェ マンボー

 対象は都内在住者と在勤者で、2時間500円と24時間2000円の2つのコースがある。特に24時間コースは一般的なネットカフェの半額ほどの料金。リモートワークやリモート帰省によく活用されているそうだ。

 「ネットカフェは密になると自粛の対象にされたが、図書館のようなお店というイメージがあったのではないか。今は個室のプライベート空間に一新している。これを機会にまず弊社のサービス内容を知ってもらいたい」(マンボー・広報)と、採算よりアフターコロナを見据えた戦略と考えている。

 やはり、国の制度は国民に対して平等であるべきで、民間はその矛盾を突くのがコロナ禍で集客を高めるポイントなのだろう。

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