これは各国の金融ネットワークが自己完結型で互いに閉じており、ネットワーク間のやりとりに摩擦が多いことが原因だ。吉川氏は、これを「インターネット以前の通信ネットワークと似ている」と表現する。インターネットが普及するまで、コンピュータを使ったネットワークはAOLやCompuServe、国内ならNiftyServeといった民間企業が運営していた。それらは内部で閉じており、外部とのやりとりは簡単ではなかった。インターネットが登場して初めて、これらのネットワークはシームレスにつながり、ほぼ通信コストゼロで情報をやりとりできるようになった。
金融におけるお金の流れも同じだ。リップルは、同社のRippleNetというネットワークをつなぐプロトコルを使い、共通のAPIで送金を可能にする仕組みを提供する。RippleNetは、各国の銀行や資金移動業者同士を接続するものと、間にXRPという暗号資産(仮想通貨)を使って送金を行うものの2種類がある。
このXRPを使う仕組みをリップルは「オンデマンド流動性(ODL)」と呼び、主力プラットフォームとして普及に注力している。仕組みはシンプルだ。XRPとは、ビットコインのようなオープンソースのブロックチェーンである「XRP Ledger」のネイティブトークンとなる。
送金したい金融機関はいったん法定通貨を暗号資産取引所でXRPに替え、XRPを送金する。受け取る側はXRPを受け取り、それを暗号資産取引所で法定通貨に戻す。XRP Ledgerは、送金にかかる時間が3秒と短く、手数料も0.0002ドル、秒間1500件の取り引きができ、決済を確定させるためのエネルギー消費も小さい。
すでに欧米からフィリピンやメキシコなどの送金経路において稼働しており、今後、順次拡大していく予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング