新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くの企業でテレワーク化やビジネスモデルの見直しが進められている。そうした状況に適応する企業がある一方で、「決裁のために出社しなければいけない」「相変わらず、対面の社内ミーティングが必須」といった企業も少なくない。こうした現状について、『職場の問題地図』(技術評論社)などの著書で知られる業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏は、「日本型マネジメントの根底には、“幼稚性”があるのではないか」と指摘する。
沢渡氏のインタビューを前後編でお届けする。今回の「前編」では、日本の「これまでのマネジメント」の問題と、「これからのマネジメント」の姿について聞いた。社会の不確実性が高まる今、どのような組織変革が求められているのか。
――沢渡さんは、日本社会の現状について、どのように見ていますか。
時代の過渡期に入っていると感じています。産業構造、マネジメントスタイル、法制度、カルチャー、さまざまな点において、過去30年、40年の日本の当たり前が通用しなくなっている。その原因について、私が思い至ったのが、「これまでの日本の組織マネジメントは、“幼稚性”に基づいていたのでは?」という仮説でした。
――幼稚性とは?
例えば、リモートワーク中の社員を細かく監視しないと気がすまない上司がいますよね。あるいは、ものごとを進めるとき、自分を飛ばして話を進められると、「聞いていない!」と拗(す)ねて足を引っ張る……。これは、中学・高校の部活動の世界に似た理不尽な話です。
こういう上司に当たると、部下もやる気をなくしてしまいます。せっかく時代の変化に合わせてスピーディーに動こうとしているのに、古いやり方を捨てない上司に邪魔されるわけですから。
今、こういった軋轢(あつれき)は多くの場所で起きていると思います。気合根性、同調圧力、年功序列といった古い常識が、テレワークなどのニューノーマルな働き方と真っ向から対立しているのです。
――今の時代に合った組織とは、どのようなものなのでしょうか。
私は、旧来のマネジメントを「統制型(ピラミッド型)」、これからのマネジメントを「オープン型」として対比しています。こちらの表をご覧ください。
まずは、統制型(ピラミッド型)から説明します。統制型(ピラミッド型)は、トップダウンな管理体制です。下の者は上の人が言うことを聞くのが当然で、役職者が家父長のように権力をふるう形ですね。性悪説に基づいたマネジメントがよしとされ、ルールから逸脱することは許されません。
統制型(ピラミッド型)で重視されているのが、いわゆる「報連相」ですが、そのやり方には、上司が心地よいやり方を下に強いる構造が見られます。例えば、メールによる報告が合理的な場面でも、直接報告を聞かないと気がすまない上司であれば、従うほかありません。資料の体裁や「てにをは」にこだわり、則していないと激怒する上司も。
その結果、どんどん報連相が遅くなる、あるいは「ヒヤリ・ハット」などのちょっとした情報共有がされなくなる。自分の意に沿わない発言をする部下を、あからさまに冷遇したり、社内にネガティブキャンペーンをして居にくくする上司もいます。もはや人間としての器を疑いますが……。
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