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「他と違った行動を認めない」「テレワークで細かく監視したがる」上司が、企業のイノベーションを阻害しているアフターコロナ 仕事はこう変わる(4/5 ページ)

» 2020年08月20日 05時00分 公開
[小林義崇ITmedia]
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閉鎖的なバックオフィスの変革が必要

――日本企業は、どのようにオープン型のマネジメントを取り入れていけばいいのでしょうか。

 まずは、「このままで勝ち続けられますか?」ということを真剣に考えてみることだと思います。統制型(ピラミッド型)が合う職種や業種もあるので、とにかくオープン型にすればいいというわけではありませんが、今のマネジメントが合理的なのか、変化や成果から見直してみる必要があります。

 また、統制型(ピラミッド型)が合う業種であっても、部署によってはオープン型のほうがふさわしいケースもあるはずです。「ウチは製造業だから」「当社は地方都市の企業だから」と紋切り型、一律で考えるのではなく、部署毎や職種毎の最適解をそろそろ模索し始めてください。

――例えば、どのような部署がオープン型にシフトするといいのでしょうか。

 ずばり、バックオフィス、すなわち管理部門や管理業務から部分的にでもオープン化を進めてほしいと思っています。

 私はこれまで300以上の企業や自治体、官公庁などの働き方改革に向き合ってきましたが、「閉鎖的なバックオフィスが日本の組織改革を妨げている」という結論に至りました。

 例えば、一律の労務管理、固定的な働き方しか認めないオフィス環境、紙やハンコを求める業務フロー、懲罰的な人事制度。これらは社内外のオープンなコミュニケーションを阻害します。これでは、社内に外部とのコラボレーションに挑戦しようとする社員がいても、話が前に進みません。

 外部、そうですね。お取引先との商取引を考えてみましょう。少額の取引であっても、一律相見積もりを強制する企業もあります。そのための時間と労力が、お互い(社内外)にかかります。スピーディーにつながることができません。

 労務管理にしても、製造現場の人と、クリエイティブ職の人とを、同じ勤務時間に縛るのも、おかしな話です。合理的に考えれば、常識のように見える社内ルールの中に、不合理な点が見つかるものです。そして、これらの社内制度、社内ルール、慣習の多くは管理部門、すなわちバックオフィスが統括しています。つまり、バックオフィス次第で組織は大きく変わることができるのです。

 ただ、バックオフィスの中にいる人は、こうした問題に気が付いていないのかもしれません。経理部門など、外と接する機会が少ない人たちは悪気なく「井の蛙」になります。外を知らないものだから、古いやり方が正義だと思ってしまう。あるいは、これまた「井の中の蛙」の税理士や監査人などに「ハンコがないといけない」「規定のフォーマットでなければ認めない」などと「とんちんかんな指導」をされて、うのみにしてしまう。

photo バックオフィスと呼ばれる管理部門や管理業務がオープン化を進める必要がある(写真提供:ゲッティイメージズ)

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