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「テレワーク普及で地方移住が増える」「コロナ禍でマイカー再評価」は本当か 調査で見えた意外な結果「移動」の意識はどう変わった?

» 2020年09月11日 10時54分 公開
[ITmedia]

 デロイトトーマツコンサルティングが発表した「Post COVID-19の移動に関する消費者意識調査の解説」で、コロナ禍がもたらした「移動」への影響が明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡 大は生活に大きな変化をもたらしている。中でもビジネスの場では在宅勤務が大きく進み、都心部へ出勤する必要性が薄まったことから地方移住が進むのではないかという議論をよく目にするが、実態はどうなのだろうか。また、「3密」回避で電車移動を避ける人も増える中、クルマでの移動に変化はあったのだろうか。なお、調査での質問は「現状を回答する」ものではなく「1年後の想定を回答する」という形でなされた。

同社発表の資料

 同様の調査を2018年(当時は「現状」に関して質問)にも実施しており、今回の結果を当時と比較すると「移動に占める目的別割合」を聞いた設問では「通勤」目的での外出が全体で12ポイント減少。在宅勤務の浸透による影響が一定程度あったようだ。最も減少幅が大きかったのは「18〜29歳」で、18ポイント減少して15.9%だった。

 一方で、「引っ越し希望」について質問したところ、郊外への引っ越しを希望した人は全体の4.1%にとどまった。年代別では「29歳以下」が最多で7.8%。逆に都市部への引っ越しを希望した人は全体のうち5.1%。こちらも29歳以下が最多で14.6%が回答した。

通勤が減っても、地方移住希望はそこまで増えなかった(出所:同社調査)

「電車移動」が減る一方で……

 調査では、外出する際の移動手段についても質問。3密を避ける目的からか、「電車」と回答した人は18年調査から10ポイント以上減少し、25.5%だった。「マイカー」と回答した人も5ポイント近く減少しており(42.7%)、自動二輪や自転車などその他のモビリティが増加している。

電車とともにマイカーでの移動意向も減少(出所:同社調査)

 クルマに関しては「非保有志向」も高まっている。既にクルマを保有している層、保有していない層ともに非保有志向が前回調査を上回った。公共機関と違い、「密」を気にせず移動できるクルマだが、コロナを機に「断捨離」志向が高まったこともあり、経済的理由から保有を見直した人も一定数いたようだ。

 ただ、公共交通機関が都市部ほど充実していない傾向にある地方部などでは、生活にクルマが必要なケースも多い。クルマを保有していなかったり、手放したりした場合にはレンタカーやカーシェアサービスなどの利用が想定されるが、両者ともに将来的に利用を希望する人の割合は伸び悩んだ。デロイトトーマツの担当者は「シェア系のサービスは、まだ黎明期といえる。MaaSなどを念頭に盛り上がってきてはいるが、地域や事業者ごとに分断されているのが課題だ」と分析している。

クルマ非保有志向の割合は前回調査から増えた(出所:同社調査)

 調査は6月19〜21日、Web上で実施。日本全国の老若男女を対象に、3120サンプルを回収した。

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