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調達購買業務のDXは進むのか関心は高いけれど(1/3 ページ)

» 2020年09月20日 07時43分 公開
[野町直弘INSIGHT NOW!]
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 11年前にリーマンショックがありました。リーマンショック後、多くの日本企業はコスト削減を命題として取り組んでいきました。

 特に従来であれば、あまり目が向けられなかった経費や投資などの外部支出(いわゆる間接材調達)も対象とされ、コスト削減に力が入れられたことを記憶しています。このような企業の支出全体を対象として、購買機会を戦略的に捉え、コスト削減を図っていく手法は「戦略ソーシング」と言われ、欧米企業では従来から、その取組が進んでいました。

 一方、日本企業で「戦略ソーシング」という取組みが一般化したのは、まさにリーマンショックがきっかけだったと言えます。しかし、当時間接材調達のコスト削減のスペシャリストは、日本国内には数えるほどしかおらず、多くの企業が、コスト削減をサービスとする企業を使いました。この時期には、上げられた成果に対する一定割合を報酬とする、いわゆる成果報酬型コスト削減サービスへのニーズが高まったことが、特徴でした。

 一方で、今回のコロナ禍においては、このようなコスト削減活動への関心はあまり高まっていないように感じます。一部の事業者による同様のサービスの広告をネット上で見る機会は増えているものの、先のリーマンショック時ほど、コスト削減ニーズの高まりは、今現在感じられません。

 他方、高い興味を感じているのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。先だって私が講演したセミナー参加者のアンケートでも調達部門のDXやIT活用に対する関心は、非常に高いことが結果として出ています。同様に日経新聞が8月に開催した、ダイキン工業の購買担当執行役員のWebセミナーでも、IT活用が今後の調達業務において欠かせない、というアンケート結果が高くなっているようです。

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