完全無借金だったサイゼリヤがコロナ禍で下した決断 すかいらーくとの違いとは：決算書を比較（4/4 ページ）

[中野 裕哲，ITmedia]

決算書以外にも定性的な違いを見るようにしよう

　決算書の数字は、企業の姿を映す1つの形です。今回比較したポイントも、あくまで1つの指標に過ぎません。決算書を比較する際に注目すべき点は場面によって異なります。

　また、上場会社の有価証券報告書には、決算書などの定量的な数字以外にも、事業計画といったさまざまな定性的な情報が掲載されています。投資家はこうした情報も重要視していることが多いです。決算書のような定量的な情報のほうが比較はしやすいのですが、特に上場企業のように業態も多様で、さまざまな業態の数字を積み上げて作り上げた決算書だと、単純に比較することが難しいこともあります。

　今回比較した2社は、異業種の多角化をほぼ行っていないため、飲食業という視点で連結決算書の比較が可能でした。ただ、メインは同じ業種でも、異なる業態の数字が反映されていることがあります。連結でも単体でも、そのことを考慮したうえで比較するようにしましょう。

【お詫びと訂正：2020年9月24日午前5時の初出で、すかいらーくHDとサイゼリヤの売上高総利益率をそれぞれ30.38％、35.95％と記載いたしましたが、正しくは69.62％、64.04％でした。そのため、関連する文章と併せて修正いたしました。お詫びして訂正いたします】

著者プロフィール

中野 裕哲

税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー（CFP〈R〉）、一級ファイナンシャルプランニング技能士、起業コンサルタント〈R〉。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-Spirits/V-Spirits経営戦略研究所株式会社)。経営者の支援をライフワークとし、経営全体を窓口ひとつでまるごと支援する。年間約300件の経営相談を無料で受け、多くの経営者を伴走支援している。日本最大級の起業・経営支援のポータルサイト経済産業省後援DREAM GATEにて9年連続相談件数日本一。最優秀賞他8部門で受賞。V-Spiritsグループには、日本政策金融公庫元支店長、元金融機関融資課長、元国の補助金審査員、助成金に精通した社会保険労務士など、各ジャンルで経験豊富な専門家も在籍しており、総合的な経営支援を行っている。最新刊『給付金・協力金・融資・助成金・補助金・納税猶予・支払猶予 「新型コロナ資金繰り対策」がすべてわかる本』を7月18日に発売。