取締役5人について、オラクル側が「米国人4人」と発言する一方、バイトダンスは「自社から複数が就任する」と“修正”するなど、1つの提携案に異なるニュアンスの説明がなされ、さまざまな“憶測”が飛び交うのは、提携案が米中両政府の承認を得る必要があるからだ。
トランプ大統領は本来、TikTok米事業の売却か禁止の二択を迫っていたが、中国政府が売却を許すはずもなく、3社は「技術提携」で着地した。
オラクルとウォルマートは、技術提携ではあるが、米国側がコントロールしていくことを強調しつつ、提携案が米国の雇用、財政、教育への貢献することで、自国の理解を得ようとしている。
一方、バイトダンスも米国の1億人のユーザーを維持しつつ、支配権を奪われていないことを自国政府や国民に納得してもらう必要がある。同社はマイクロソフトとの売却交渉が明るみに出たとき、国民から「弱腰」と猛批判を浴びた。同社はその後、大統領令は違憲だとして訴訟を起こした。
バイトダンスとともに米企業との取引を禁止され、9月20日に配信停止されるはずだったWeChatは、利用者が起こした訴訟の結果、裁判所が同日、「利用禁止は合衆国憲法が保障する表現の自由などを侵害する」という原告側の主張を大筋で受け入れ、大統領令の執行を一時的に差し止める命令を出した。米中の報道によると、WeChatは22日現在も米国で利用できる状態となっている。
TikTokもバイトダンスだけでなく、従業員やユーザーも米政府を相手取り、訴訟を起こしている。米中政府の対応も含め、新しい期限の27日前後は再び波乱が起きる可能性も残されている。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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