丸亀製麺の売上高が対前年比90%まで回復 カギは「衛生マーケティング」と持ち帰り専用容器飲食店を科学する(2/5 ページ)

» 2020年09月29日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

安心・安全の打ち出し

 緊急事態宣言中に放映された丸亀製麺のテレビCMをご存じでしょうか?

 このCMでは、アルコール消毒を実施していることや、店内の空気を5分ごとに換気していることといった新型コロナウイルス対策を15秒で分かりやすく伝えています。

 新商品のアピールなど、マーケティング目的でテレビCMは利用されることが多いのですが、丸亀製麺はいち早く店内のコロナ対策をアピールしました。

 私はこうした活動を「衛生マーケティング」と呼んでいます。コロナ禍の初期段階で衛生マーケティングを行った会社と行わなかった会社では、7月以降の集客回復に大きな差が出ています。消費者2000人を対象に行ったあるアンケートでも、多くの消費者が「店内の衛生環境の動画」に対して、最も高い関心を示していました。

 こうした消費者データを分析した上で、当社のコンサルティングご支援先でも、店内換気や衛生対策を打ち出す動画を一緒に作成してSNSなどでPRしました。そして、その次に各種キャンペーンや新商品のPRを実施しました。その結果、かなりの反響があっただけでなく、大きな集客効果がありました。コロナ禍にもかかわらず、売上高が対前年比100%を超える店舗もありました。

 ウィズ・アフターコロナにおいては、こうした消費者心理の変化を敏感に捉えた上で、対応策を“次々”と“スピーディー”に打ち出していく「仮説立案力」「意思決定力」「行動力」がとても重要となります。これはコロナ禍に限らず、非常時の経営においては鉄則です。

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