偽装ファクタリングに注意 コロナ禍で注目される資金調達手段、ファクタリング「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/4 ページ)

» 2020年09月29日 07時00分 公開
[家田明ITmedia]

 こうしたなかで、近年、特に中小事業者の資金調達手段として注目を集めているのが、ファクタリングである。ファクタリングには一般にいくつかの類型があるが、以下本稿では、ファクタリングとは、事業者が持つ売掛債権をファクタリング会社に手数料を支払って期日前に売却することで、事業者が資金調達を行えるサービスのことを指すことにする。

 また、ここでは、債権者である事業者が債務者である売掛先に、債権をファクタリング業者に売却したことを通知しない二者間ファクタリングを対象とする。

筆者が取締役を務めるマネーフォワード子会社のMF KESSAI(東京都千代田区)では、「MF KESSAIアーリーペイメント」という名称でファクタリングサービスを提供している

 ファクタリングが資金調達手段として注目を集めている背景には、これまで述べてきたように、金融機関や貸金業者からでは、事業者が必要な運転資金を速やかに入手することが必ずしも容易ではないことがある。

 ファクタリングでは、当社の場合の必要審査日数は、初回で1週間程度、2回目以降で数日程度と、上述の金融機関の審査日数と比較すると相当短い。この点は、事業者にとっては有用となる。また、金融機関が融資の対象としにくい中小事業者やスタートアップであっても、売掛債権を保有しているのであれば、ファクタリングの活用により資金調達の途があることも大きなメリットであろう。

 加えて、ファクタリングに注目が集まっているもう1つの背景としては、数年前から当社などのフィンテック企業やIT企業などがこの分野に参入し、ITを活用し事業者にとって使い勝手のよいファクタリングサービスを提供することで、市場のすそ野を広げていこうとしていることもある。

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