コロナ禍で外食業界が深刻な打撃を受けるなかでも、「儲(もう)かっている」と言われているのが「唐揚げ専門店」だ。
昨年から「空前の唐揚げブーム」などと言われて専門店が続々とオープンしていたところへ、「外出自粛で家で食事をする機会が増えたものの揚げ物をするのは面倒くさい」「家飲みをするのにいつも居酒屋で食べていたような唐揚げを食べたい」という、いわゆる「テイクアウト需要」がさらに追い風になって、多くの専門店が好調だというのだ。
実際、富士経済が今年6月に発表した外食産業国内市場調査でも、「唐揚げ」をメインで提供する専門店のマーケットは2019年に853億円だったが、20年に1050億円と右肩上がりで増えている。
みなさんの周りでも「唐揚げ専門店」が急速に増えていないだろうか。国道沿いのカラオケなどの横に、あるいはスーパーの駐車場などのちょっとしたスペースに、あるいは商業施設内のフードコートに、テイクアウトを前面に打ち出した「唐揚げ専門店」がある日突然できて、長蛇の列をなしている――なんて光景を目にしているのではないか。
暗い話の多い今の日本、こういう景気のいい話があるのは大変喜ばしい。が、その一方であまりの過熱ぶりに若干、嫌な予感もしてきている。それは「唐揚げバブル」の崩壊だ。
当たり前だが、マスコミが「儲かってます」「ブームです」とあおればあおるほど、金の臭いを嗅ぎつけて新規参入業者が押し寄せる。当然、既に市場にいるプレイヤーはシェアを奪われないようにと急速に店舗網を拡大する。すると、どうなるかというと、すさまじいカニバリが始まって客を奪い合うだけではなく、似たような店がひしめき合うことで、その業態の「価値」が暴落してしまう。要するに、「最初は新鮮だったけど、なんか今はどこにでもあるじゃん」なんて感じで飽きられてしまうのだ。
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