しかし、なぜ企業の株を買うことが“応援”になり、社会貢献につながるのか。背景の1つには、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs:エスディージーズ)」や、企業の環境・社会・ガバナンスを評価して投資するESG投資の普及がある。
年金積立金を運用するGPIFは、17年に投資原則を改め、株式だけでなく債券などすべての資産でESG要素を考慮した投資を進めてきた。経済産業省が19年末に行ったアンケートでも、機関投資家の97%以上が、ESG情報を投資判断に活用している。ESGの活用については、特に欧州に比べて日本は遅れているといわれてきたが、最近は徐々にキャッチアップしてきている。
こうした中、ESGを重視する企業の株には積極的な買いが入り、逆にESG評価の低い企業は買われない流れができつつある。「2012年から現在までを見ると、ESG評価の高い銘柄は、平均よりも4%くらい高いリターンとなった」(大槻氏)
ESGへの取り組みが、企業業績に好影響を及ぼすかどうかは判断が分かれるところだが、機関投資家の多くがESGを評価して買い入れる以上、株価への影響もあるといえるだろう。
影響は株価だけではない。大槻氏は「社債もそうだ。ESG評価が低いために資金調達から排除されると倒産につながってしまう。財務が弱いところは、非財務情報であるESGも真剣に捉えている」と話す。
SDGsでは、前回のMDGsの反省から、資金供給方法として投資や融資といった民間の資金を活用することを打ち出した。機関投資家は、社会貢献を重視する企業に積極的に投資する。その結果、企業の株価も上昇する。SDGsの17の目標に対して積極的な企業に、投資や融資が行われやすくすることで、好循環を作り出す狙いだ。
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