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収益は前年同期比15%増 コロナ禍でも増収増益の米Tinder幹部を直撃「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(4/5 ページ)

» 2020年10月08日 05時15分 公開
[武田信晃ITmedia]

23年までにアジアでの収益を全体の25%にまで伸ばす

――今後どうやってメンバーの数を増やしていきたいのか?

 創立から現在までで3億4000万回のダウンロードがあり、620万人の有料会員を擁しています。今後はさらに成長が見込まれる地域に注力していきたいと思っています。

 23年までにアジアでの収益を全体の25%にまで伸ばしていきたいと考えています。アジアに力を入れる理由として、Z世代が多いことと、文化的にアプリを通じて出会うことに抵抗感が少ないというのがあります。アジアの中で日本は大きなマーケットです。ローカルスタッフをこの1年で雇っている事実からも、そのことを分かっていただけると思います。ほかの国々では、韓国、ベトナム、タイ、台湾、インドネシアも重視しています。

――ただ、日本は少子高齢化が進み、Z世代という意味ではマーケットが縮小傾向にあります。なぜそれでも日本を重視するのですか?

 日本の若者の文化にとって人と出会うことや人間関係を構築することは非常に重要な要素だと分析しています。日本はアジアの中でもいろいろなトレンドのリーダーでもあるので、やはりコアマーケットの1つだという認識です。

――Tinderをきっかけにした事件が日本でも2018年に起こりました。メンバーの安全性確保について、どんな対策をしているのですか?

 メンバーが安全かつ安心してアプリを使ってもらうのは最も大事なことだと思っていますので、セキュリティを担保することには時間も労力も掛けています。例えば、プロフィール写真と比較して、本人かどうかを判断する「写真認証システム」を各国に順次導入中です。本人確認のために利用者にプロフィール写真と同じポーズをしている別の写真をアップロードしてもらい、当社で確認し、OKであればチェックマークが入ります。チェックマークが入ることによって他のユーザーは運営側によって本人確認がなされたのだと安心して利用できますね。

 「セーフティーセンター」という機能も追加したいと考えています。マッチした相手とリアルで出会うときに、どういったことに注意するべきなのか。知らない人に出会うときの心配や懸念を取り除くことも、アプリ提供者としての役割だと考えています。

phot Tinderの安全に対する取り組み

――ウイズコロナ時代には、人に直接会うのを避ける「非接触」の傾向が顕著になると思われます。人と人との出会いを促進するマッチングアプリにとっては、ある意味逆風になり対極の環境になるように思われます。この状況の中で、いかにしてビジネスを進めていくのでしょうか?

 「コロナ禍になってTinderのようなアプリはなくなるのではないか?」と思われたかもしれませんが、実際の効果はその反対でした。ずっと自宅にいて、人に会えないからこそTinderは大事なツールとして、人とつながり、会話をするプラットフォームになったと思います。

 コロナ前に比べてマッチ数も会話数も増えていますし、会話時間も長くなっているのです。2月20日〜3月26日に集計した結果によると、メッセージ量が世界中で平均20%増加し、メッセージのやりとりが続く時間も25%伸びていることが分かりました。メッセージの内容も、ただのあいさつから始めるのではなく、まずはお互いの状況を心配したり、励まし合うメッセージが増えています。

 だからこそ今のタイミングでSWIPE NIGHTを実施することを判断したのです。誰もがコロナ前のように、オフラインで直接出会う世界を求めているとは思いますが、デジタルの出会いもZ世代は大事に考えているのです。オフライン、オンラインどちらでもビジネスとして成立することを新型コロナウイルスで気付かされました

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