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収益は前年同期比15%増 コロナ禍でも増収増益の米Tinder幹部を直撃「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(2/5 ページ)

» 2020年10月08日 05時15分 公開
[武田信晃ITmedia]

ブレークスルーの決め手はアプリとの連携

――2012年から始まって、これまで大きな変化のポイントやブレークスルーの機会があったと思うのですが、何がその決め手になりましたか?

 成功の要因は世界中に広がったことだと思います。米国で始まって、ロンドン、パリ、ブラジルに広がり、テック系に強いアジア、日本と韓国に広まっていったのです。

 最初は簡単で楽しいというのが重要な要素だったと思いますが、メンバーが自分のことを簡単に広められる機能を拡張していったからだと思います。例えば、Spotifyとの提携で自分の好きな音楽を知ってもらったり、シェアできたりするようにしました。加えて趣味機能のようなものがありますが、これは日本で最初に実験的に導入しました。

 「私はこういうのが好きなんです」という事柄を共有することによって、自分と同じ趣味を持つ人とマッチしやすくなる。一番大事だと考えているのは、自分のことを知ってもらうために「アンケート形式」のような面倒なことを記入してもらうのではなく、簡単に楽しく自分のことについて人に伝えられる機能を増やしてきたことだと思います

phot Tinderのブランドアンバサダーを務めているモデルの水原希子氏

――インスタグラムなどのほかのアプリとの提携についてはどう考えているのか?

 もう1つの成長をさせる方法としてアプリとの提携があります。インスタに載せているコンテンツをTinder用に作り変えるのではなく、連携をすることで自己表現をしやすくするのが私たちの目的でしたから、成功事例の1つだったと思います。

――Tinderは恋愛だけでなくビジネスパートナーとの出会いを目的としたメンバーもいるということですが、日本ではいまだに出会い系というイメージが根強い部分があります。新たなビジネスが生まれた具体的な事例を教えていただけますか。

 米国のワシントンDCにいる2人の男女の話です。Tinderでマッチしたのでコーヒーを飲みましょうということで実際に会いました。2人の会話は盛り上がったものの、恋愛の要素はなかったのです。ただ、会話の中でボクシングという共通の趣味を見つけて会話が弾みました。友達の関係を持続していくうちに、ボクシングの要素を取り入れたスポーツジムを2人で協力して設立したという例があります。

 機能としてビジネスをマッチさせるというものはありませんが、メンバーがそういう使い方をすることで、ビジネスにつながる可能性もあるのです。

phot Tinderでマッチした男女が設立したスポーツジム(BOOMBOX Boxing ClubのWebサイトより)

――9月にTinder内で、メンバーが自分の選択によって物語を楽しめるドラマ『SWIPE NIGHT』を3回にわたってリリースしました。SWIPE NIGHTのビジネスとしての位置付けは何だったのですか?

 われわれはZ世代にアピールするものを常に提供したいと思っています。彼らは生まれたときからデジタルの世界で生きてきました。常にオンラインで誰かとつながっています。『フォートナイト』や『あつまれどうぶつの森」などを通じて世界とつながっていますし、実際に出会っています。刺激的で非日常的なコンテンツを常に求めているので、SWIPE NIGHTのように自分で自分の結末を選べるコンテンツはZ世代に浸透するのではないかと考えたのです。そこにTinder独自のスワイプの要素を加味させたのです。

phot

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