セブンの「ステルス値上げ」を疑う人が、後を絶たない理由スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2020年10月27日 09時28分 公開
[窪田順生ITmedia]

セブンは反論せずにスルー

 毎日大量のおにぎりや弁当が廃棄されている食品ロスを少しでも改善するためには小型化や減量はしょうがないという人もいるが、それならばなおさら消費者にちゃんと説明しなくては意味がない。「どうせ難しいこと言っても大衆は分からないでしょ? われわれはいろいろ考えて商品つくってんだから、あんたらそれを信じて買えばいいんだよ」という企業側の上から目線は、不信と反感しか生まないのである。

SNS上で「ハリボテたまごサンド」と指摘されている、セブンの「厚焼きたまごミックスサンド」

 そのあたりをよく心得ているのが、ライオンだ。同社の衣料用洗剤「トップ スーパーNANOX」はステルス値上げをウォッチするWebサイトで、13年のリニューアル時に内容量が50グラム減ったなどと指摘されていた。しかし、今回のリニューアルでは、嵐の二宮和也さんが出演するCMで、従来の液体洗剤は「約7割が水」という事実を明かすとともに、新しい「トップ スーパーNANOX」は7割が洗剤成分で「濃い」ことを強く訴求。一歩間違えれば、液体洗剤全体のイメージダウンにもつながるような思い切ったコミュニケーションだが、減量している背景がクリアになったことで、「ステルス値上げだ」などという風評は立っていない。

 この対極に位置するのが、今回のセブンの対応だ。先月から底上げ弁当がSNSで叩かれているにもかかわらず、言われっぱなしでまったく反論をしない。SNSで騒いでいる連中などは、われわれのお客さまではないと言わんばかりのスルーっぷりなのだ。

 個人的には、こういう大上段から構えたいかにも大企業的な対応も、ステルス値上げ疑惑に拍車をかけているのではないかと思ってしまう。

 それに加えて、もうひとつセブンへの不信感を強めているのは、不祥事ラッシュだろう。昨年の24時間営業をめぐる問題から、ブラック労働が注目を集めたからと思ったら、セブンペイの不正利用とそのグダグダ対応が世間から批判され、今年に入ってからも、本部社員による無断発注、さらには1970年代から続く残業代の未払いまでもが発覚した。

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