「数年前にはテレビCMを入れたこともあったが、本質的な価値を伝え切ることはできなかった」と小野寺氏は振り返る。20年5月のリニューアルの際は、ブランドの存在感をさらに高めることを目標に、あらためて特長やこだわりを発信した。
その一環として、ブランド公式サイトで「本搾りに異常な情熱を注ぐ開発者たち」というインタビュー記事を公開。メルシャン時代から開発に携わっていた社員らが、果汁の選定や中味開発、マーケティングの舞台裏を語っている。「そこまでやるのか」という新鮮な驚きを感じてもらい、ブランドへの共感を呼ぶ仕掛けだ。また、SNSでユーザーに本搾りについて発信してもらうキャンペーンなども実施した。テレビCMのように分かりやすく広い層に届けることはできないが、15秒では伝わらない“深い情報”を求めるファンが多いブランドに合ったやり方といえそうだ。
本搾りの情報を提供するLINEアカウントは、クーポンやスタンプの案内が全くないにもかかわらず、友だちの数は3万8000人以上。「食にこだわりがあって、おいしいお酒が飲みたい人」「本搾りの姿勢が好きで愛飲している人」に確実に届く情報発信をしている。
小野寺氏は「本搾りを“ファンに支えられて育ったブランド”の象徴にしたい」と意気込む。右肩上がりの成長を続ける背景には、ブランドの価値に共感する人たちとしっかり向き合い、その期待に応え続ける姿勢があった。
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