「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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外国人観光客の増加や東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、ホテルの建設ラッシュが続いた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響でその計画は大きく変わり、宿泊業界は苦境に立たされている。
東京商工リサーチの調べによると、宿泊業の2020年上半期(4〜9月)の倒産は71件で前年同期の2.5倍と急増。「新型コロナ」関連の倒産は41件で、飲食業に次いで多くなっている。東京商工リサーチは「入国制限によるインバウンド消失や、外出自粛による旅行需要の減退、出張取り止めなど、宿泊客の大幅な減少がホテルや旅館の経営に打撃を与えた」と分析する。
政府の観光支援策「Go Toトラベル」により国内の観光需要は持ち直しつつあるが、各施設も「宿泊にとらわれない」新たな需要喚起を図ろうとさまざまな施策を打ち出している。
10月26日に岐阜県高山市に開業した「FAV HOTEL TAKAYAMA」。不動産コンサルティング事業などを手掛ける霞ヶ関キャピタル(東京都千代田区)が手掛ける新ブランドのホテルだ。4人以上での長期滞在を想定し、客室の標準面積を通常のホテルよりも広い35平方メートルに設定。各部屋にキッチンやバス・トイレ、洗濯機などを完備している。
フロントには自動チェックイン機を導入。客室のカギも暗証番号式のものを採用した。また、近隣情報などはタブレットを使って提供し、フロント業務は原則1人で対応する。そのためホテル内での従業員との接触機会はほとんどないという。
これまでの宿泊施設はシングルやダブルルームが多かった。一方で、多人数対応の客室を備えた旅館の廃業が増加したことなどから、同社は団体向け施設の需要に応えられていなかった点に着目した。
さらにFAV HOTEL TAKAYAMAでは、密を避けながらホテルまでの移動も楽しんでもらおうと、団体向けならではの送迎方法を提案している。
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