キャンピングカーでGoToホテル!? コロナ禍、宿泊業界のユニークすぎる集客の仕掛けに迫る「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(3/3 ページ)

» 2020年10月30日 07時30分 公開
[上間貴大ITmedia]
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チェックインから英語で会話

 コロナ禍でビジネスパーソンの出張が減る中、出張客をターゲットにしていたビジネスホテルも新しい需要を生み出そうと画策してる。

 スーパーホテル(大阪市)は、オンラインの英語学習がセットになった宿泊プランを発売。10月30日から「Premier東京駅八重洲中央口店」で提供する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、留学やワーキングホリデーなどに行けない人の需要を想定している。

(出所:プレスリリース)

 緊急事態宣言が出された期間、スーパーホテルでも東京と大阪で10店舗以上の休業を余儀なくされた。例年だと90%を超える4、5月の客室稼働率も30%台前半まで落ち込んだ。インバウンド需要や、オンライン化の流れで変化するビジネス客の需要をカバーするため、新たな取り組みとして考えたのが「ホテルでオンライン英語留学プラン」だ。

 利用客は、客室でオンラインの英語スクール「スパトレ」(東京都千代田区)の外国人講師によるオンライン授業を受講する。学習に集中できるように、広いデスクと防音効果が高い窓や扉を備えた客室に案内するという。

(出所:プレスリリース)

 こだわったのはそれだけではない。留学気分を味わえるよう、参加者がチェックインする際には、フロントスタッフは英語で対応するという。

 スーパーホテルの広報担当者によると、これまでの利用客の多くは外国人観光客や、遠方からの宿泊客だった。しかし、コロナ禍の影響でテレワークを目的としたデイユース利用が増えた。また、金額が安く、近場で、利用期間が短い「安近短」の旅行客が増えてきているという。さらに、これまでビジネスホテルという特性上、利用客の多くが男性だった。今回のプランをきっかけに「留学に興味がある女性客」など、新たな客層を増やしたい狙いもあるという。

 Go To トラベルで徐々に回復しつつある観光需要。しかし新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか見通せない状況には変わりない。宿泊業界も単なる「宿泊する場所」ではない新たな需要を喚起するために試行錯誤を続けている。

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